トランプが自身の実績として誇るガザ停戦には問題山積み...停戦を「持続」させるのに必要なこととは

What’s Next for Gaza?

2025年10月21日(火)15時15分
トム・オコナー(本誌米国版外交担当副編集長)

トランプとアッバス議長

ガザ和平をめぐる首脳会議に出席したトランプとパレスチナ自治政府のアッバス議長(10月13日) SUZANNE PLUNKETTーPOOLーREUTERS

パレスチナ解放機構(PLO)執行委員会のメンバーであるファイサル・アランキに言わせると、アッバスが率いるファタハを中心とするパレスチナ自治政府とPLOにはガザの政治状況を再構築する今後の取り組みにおいて重要な役割を果たす用意がある。

「パレスチナ自治政府は、紛争後のガザを管理する役割を求められる可能性が高いが、真剣に改革を行わない限り、正統性も国民の支持も得られない。代わりに上部団体であるPLOが和解の取り組みを主導し、選挙と政治的統一の再構築を監督するよう求められる可能性もある」


その前段階でガザを暫定統治する委員会と、その上に立つ「平和評議会」には「パレスチナの全勢力が加わり、国際的な支援者だけでなく、パレスチナ国民に対して説明責任を果たす」必要があり、「外部からの押し付けではなく、国民的合意に根差した明確な意図の下で運営される」べきだとアランキは言う。

その過程では、ある程度までハマスのメンバーを取り込むことになるだろう。アメリカの提案でも、武器を捨てたハマスのメンバーには恩赦か、ガザを去るかの選択肢が与えられている。

今後の政治プロセスにおいて、ハマスは究極の選択を迫られるとアランキは言う。「選挙と和解を通じて、より広範なパレスチナ国家の政治機構に組み込まれるか、ずっと孤立したままでいるか。後者であれば、状況は不安定なままであり続ける」

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