最新記事
停戦合意

トランプが自身の実績として誇るガザ停戦には問題山積み...停戦を「持続」させるのに必要なこととは

What’s Next for Gaza?

2025年10月21日(火)15時15分
トム・オコナー(本誌米国版外交担当副編集長)
パレスチナ人避難民

援助物資を受け取るために、「死の道」と呼ばれるルートを歩くパレスチナ人避難民(6月28日) DOAA ALBAZーANADOLU/GETTY IMAGES

<人質解放が実現し、平和ムードが漂いつつある。しかし、イスラエル軍撤退後の空白が長期化すれば、ハマスが復権する懸念も>

自らエジプトへ飛び、2年前から続くガザ戦争の「終結」を宣言し、イスラム組織ハマスに人質全員を解放させたあの日、ドナルド・トランプ米大統領は最高に勝ち誇っていた。しかし停戦は始まったばかりだ。パレスチナ自治区ガザで、そして中東全体で歴史的なディールが成立するかどうかは次の一手に懸かっている。

【動画】すでに危うい停戦合意

ホワイトハウスが9月29日に発表した20項目の和平提案には、曖昧な点が多く残る。主な問題点はハマスの武装解除、「国際安定化部隊」の配備、そしてガザを暫定統治する「実務的かつ非政治的なパレスチナ人委員会」の設置だ(なお、その上にトランプ自身を議長とする平和評議会が置かれる)。


エジプトのシャルムエルシェイクで10月13日に開催されたガザ和平をめぐる首脳会議でも、これらの問題が協議の中心となった。この首脳会議はトランプとエジプトのアブデル・ファタハ・アル・シシ大統領が主催し、地域内外から30人以上の指導者や代表が出席した。そこにはパレスチナ自治政府のマフムード・アッバス議長の姿もあった。

ガザでは20年近くハマスによる統治が続いているが、周辺のアラブ諸国が望むのはヨルダン川西岸地区を拠点とする自治政府が戻ってきて、ガザを支配下に置くことだ。

しかしまだ、アメリカ主導の停戦が始まりハマスの拘束していた人質とイスラエルの収監していたパレスチナ人の交換が実現したばかり。その先には不確実性が多く、とても楽観できる状況ではない。

ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ハマスに警告 合意違反継続なら「残忍な

ビジネス

米ワーナー、完全売却の可能性検討 複数の企業が買収

ワールド

ガザ停戦計画は予想以上に順調、米副大統領 イスラエ

ワールド

米ロ首脳、「即時」会談の予定なし=ホワイトハウス高
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない「パイオニア精神」
  • 4
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    増える熟年離婚、「浮気や金銭トラブルが原因」では…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中