トランプが自身の実績として誇るガザ停戦には問題山積み...停戦を「持続」させるのに必要なこととは

What’s Next for Gaza?

2025年10月21日(火)15時15分
トム・オコナー(本誌米国版外交担当副編集長)

解放を喜ぶイスラエルの人質と家族

解放を喜ぶイスラエルの人質と家族(10月13日) ISRAEL DEFENSE FORCESーHANDOUTーREUTERS

決め手は米国の関与策

米シンクタンク「アトランティック・カウンシル」の上級研究員でガザ出身の活動家でもあるアフメド・フォアド・アルハティブは、アメリカによる積極的な関与と全ての関係者に対するトランプの継続的な圧力が必要だと考える。さもないと、真にパレスチナ人が喜べるような和平につながる新たな道を切り開く展望が描けない。

アメリカの関与には「西岸地区での強引な占領政策を一部撤回するようイスラエル政府に圧力をかけること」が含まれる。加えて「ハマスがガザの有力氏族や住民たちに向けて暴力的なメッセージの発信を控え、『ハマスが望むことをできる時間と空間を与える』というトランプの発言を真に受けて、自分たちが正当化されたなどと思い込まないように圧力をかけ続けること」も必要だとアルハティブは指摘する。


1948年のイスラエル建国以来、ガザの統治者は何度も代わった。同年の第1次中東戦争後にはエジプトの支配下に入り、67年の第3次中東戦争ではイスラエルに占領された。

そのイスラエル軍が2005年に撤退すると、今度はパレスチナ自治政府の管轄となったが、既にハマスは自治政府を牛耳る世俗派のファタハに勝る支持基盤を築いており、06年の選挙で圧勝。その勢いで翌年には武力抗争の末にガザからファタハを追い出し、実効支配を確立した。

以来、ハマスは人口約200万のガザを統治する一方で、ここを対イスラエル攻撃の巨大な基地として利用するようになった。彼らの最終目標はユダヤ人国家イスラエルの破壊にあるからだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、ハマスに警告 合意違反継続なら「残忍な

ビジネス

米ワーナー、完全売却の可能性検討 複数の企業が買収

ワールド

ガザ停戦計画は予想以上に順調、米副大統領 イスラエ

ワールド

米ロ首脳、「即時」会談の予定なし=ホワイトハウス高
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない「パイオニア精神」
  • 4
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 5
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 6
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 7
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 8
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 9
    増える熟年離婚、「浮気や金銭トラブルが原因」では…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中