今後20年間、イギリスへのロシアの脅威は増大する――英シンクタンク
Biggest Russian Threats to NATO Ally Over Next 20 years

極超音速ミサイル「ツィルコン」を搭載した新たな原潜「ペルム」の進水式に出席したプーチン(3月27日、ムルマンスク) Sputnik/Gavriil Grigorov/Pool via REUTERS
<ウクライナ戦争も終わらないのに、イギリスと大陸欧州の次の戦争はもう始まっている>
イギリスは今後20年にわたってロシアのミサイルによる新たな脅威に直面すると、英シンクタンク「王立防衛安全保障研究所(RUSI)」は、8月28日に発表する報告書の中で警告している。
それによれば、イギリスは今後、ロシアの巡航ミサイル攻撃に備え、重要軍事拠点の防護を強化する必要がある。ロシアが狙うと想定される拠点を中心に、より強固な防御体制を敷くことが求められるという。
ロシアは2022年初頭にウクライナに全面侵攻して以降、欧米の防空システムでは探知が難しい、あるいは探知不可能とされる最新兵器を複数投入してきた。
同時に、ロシアによる攻撃が発生した場合にNATO加盟国が頼るべき防空ネットワークは極めて脆弱で、防空能力の強化が最優先事項になっている。各国は軍事費にGDPの5%を充てる覚悟を固めているが、2024年5月の英フィナンシャル・タイムズ紙によれば、NATOは中東欧の加盟国を全面攻撃から守るために必要な防空能力のわずか5%しか保有していないという。
「近い将来、欧州はロシアの攻撃に対して自力の防衛はできなくなるだろう」と、チェコの国防当局者は今年初めに本誌に語った。