最新記事
BOOKS

石破首相が著書に記した「誠実さ、謙虚さ、正直さ」に見る、参院選後「続投する理由」

2025年8月12日(火)10時55分
印南敦史(作家、書評家)
国会に出席する石破茂首相

国会に出席する石破茂首相の胸中は…(8月1日) Kazuki Oishi/Sipa USA via Reuters Connect

<「石破おろし」に違和感を覚え、昨年末刊行の『私はこう考える』を読むと、2009年衆院選での自民党大敗を振り返る記述があった>

最初にお断りしておくが、私は石破茂総理の政策すべてに共感しているわけではなく、そもそも立場的には反自民の思想を持つ一市民にすぎない。偉そうに持論を展開する気もないし、自分自身をそんなことができるほどの人間であるとも思っていない。

それでも、先の参院選での敗北を受けた「石破おろし」の激化については違和感と不快感を覚えずにはいられない。つまり、その点に関しては「辞任しなくてよい」と主張する人々に近い立場だ。

ただ、「石破支持」ではない自分は市民としてどう考えるべきなのかを明確に判断できず、ずっとモヤモヤしていた。昨年末に入手して以来、「いつか読まなきゃ」と思いながら結局は放置していた『私はこう考える』(石破茂・著、新潮新書、2024年12月刊)を読んでみようと思ったのは、そんな理由からだ。

本書は、石破氏がこの10年間に新潮新書から刊行した『日本人のための「集団的自衛権」入門』『日本列島創生論 地方は国家の希望なり』『政策至上主義』『異論正論』の4冊から、「これからの日本を考えるうえで重要だと思う論考」を選び、まとめたものだという。

読んだ結果、基本的な考え方や主張には一貫したものがあると感じた。なかでも印象的だったのが、「誠実さ、謙虚さ、正直さを忘れてはならない」という項である。

2018年の『政策至上主義』に収録されていたものだが、書かれていることは今回の参院選敗退に通じるものがあるのだ。

ここで石破氏は、自民党が野党に転落した2009年の衆院選について「衝撃は非常に大きく、忘れられないものだった」と振り返っている。

SDGs
2100年には「寿司」がなくなる?...斎藤佑樹×佐座槙苗と学ぶ「サステナビリティ」 スポーツ界にも危機が迫る!?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、エプスタイン文書の公開支持 共和党議員

ビジネス

高級ブランドのリシュモン、7―9月期は14%増収

ワールド

中国輸出規制でイットリウムが不足、新たなレアアース

ビジネス

米共和党州司法長官、ユニオン・パシフィックのノーフ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中