最新記事
分断

「リベラルな男性」たちに一体何が?...なぜ彼らは民主党を離れるのか、背景に「男らしさ」攻撃が?

What Really Happened to Liberal Men? Why Are They Leaving the Democratic Party? | Opinion

2025年8月5日(火)18時08分
ゾルタン・イシュトヴァン
星条旗

Joshua Hoehne-Unsplash

<法制度でも今や「男性は不利」に?──極右にもネット荒らしにもならず静かに民主党を離れる男性たちの実態>

アメリカ政治の舞台裏で、静かに進行している変化がある。リベラル寄りだった男性たちが、民主党から距離を取りはじめているのだ。彼らは極右に転向したわけでも、ネットを荒らすわけでもない。

教師、テック系のビジネスマン、父親、アーティスト、ごく普通の男性たち──かつては迷わず民主党に票を投じていた彼らが、今では投票自体を避けたり、しぶしぶ共和党を選んだりしている。一体なぜなのか?

その背景には、左派の言説における「男らしさ」の扱われ方への違和感がある。「有害な男らしさ(toxic masculinity)」という言葉は、攻撃的で有害な男性の振る舞いを批判する概念として生まれた。それ自体は正当な問題提起だった。

しかしいつの間にか、その言葉は拡張され、「男らしさ」そのものを時代遅れで危険なものと見なす文化的批判へと変質してしまった。長年リベラルな価値観に共感してきた多くの男性たちが、いまや「男であること自体が問題視されている」と感じはじめている。

自信、競争心、リスクを取る姿勢、家族を養いたいという欲求──かつては美徳とされた特性が、一部の進歩的な論調では「男性中心主義の遺物」として否定的に語られているのだ。

さらに多くのリベラル系男性は、リベラルな立場を取る著名な女性たちから一括りにされ、不当な扱いを受けていると感じている。「問題は男性だ」といった決めつけは、経済的・精神的・社会的に困難を抱える多くの男性の現実を無視している。

こうした状況を前に、彼らの多くは問い始めている。「自分の存在や価値観が歓迎されない政党に、なぜ今も投票しているのか」と。

編集部よりお知らせ
ニュースの「その先」を、あなたに...ニューズウィーク日本版、noteで定期購読を開始
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ブラジル、米関税巡りWTOに協議要請 「確約に明ら

ワールド

米・ウクライナ首脳が電話会談、米特使の訪ロ協議 欧

ワールド

トランプ氏、ロシアとの会談「生産的」 二次制裁発動

ワールド

ウクライナ大統領を「信頼」は58%に低下、抗議デモ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 2
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの母子に遭遇したハイカーが見せた「完璧な対応」映像にネット騒然
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医…
  • 5
    イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい…
  • 6
    【徹底解説】エプスタイン事件とは何なのか?...トラ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    大学院博士課程を「フリーター生産工場」にしていい…
  • 9
    かえって体調・メンタルが悪くなる人も...「休職の前…
  • 10
    バーボンの本場にウイスキー不況、トランプ関税がと…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 8
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 9
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 10
    メーガンとキャサリン、それぞれに向けていたエリザ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 10
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中