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荒川河畔の「原住民」(30)

かつて「ドヤ街」だった山谷で開かれた野外音楽フェスで見たもの

2025年6月3日(火)16時15分
文・写真:趙海成
山谷 野外フェス「りんりんふぇす」

山谷地区の中央にある玉姫公園で行われた野外フェス「りんりんふぇす」

<昔は日雇い労働者、現在は生活保護受給者が多い東京・山谷で先日、「りんりんふぇす」という一風変わったイベントが開かれた。在日中国人ジャーナリスト趙海成氏による連載ルポ第30話>

2025年4月28日、一風変わった野外音楽フェスを見に行った。

ステージに登場したのはプロのミュージシャンだけではない。カラオケ大会も用意されていて、一見ごく普通の地元の人も出ていた。

ステージの他に美術展、写真展、食事や雑貨を提供するブースも設置されており、賑やかなお祭りのようにも見える。

会場は、山谷。

かつて「日本三大ドヤ街」の1つとも呼ばれた山谷地区の中央にある玉姫公園だ。

山谷の地元の人々もステージで歌ったり、踊ったりしていた。観客は大盛り上がりだ

山谷の地元の人々もステージで歌ったり、踊ったりしていた。観客は大盛り上がりだ

「隣」の人と「輪」になるというメッセージ

山谷は東京都台東区に位置する小さな街で、以前は日本一の日雇い労働者の寄せ場として有名だったことから、今でも日雇い労働者や低所得者が多く住む場所である。ホームレス状態でたどり着く人も多い。

ここで開催された野外音楽フェス「りんりんふぇす」は、山谷では2回目の開催で、東京都港区南青山にある梅窓院での開催から数えて、今年で12回目だという。

主催はりんりんふぇす山谷開催実行委員会で、山谷の地域団体や、「ビッグイシュー」(ホームレスの人たちが路上で雑誌『ビッグイシュー』を販売して収入を得ることで、彼らの自立を支援している)をはじめとする生活困窮者の支援団体が共催している。

入場料は「自由価格」で、参加者がフェスへの応援の気持ちで払える額を払う。これなら、貧困状態にある人々も、そうでない人も、平等に音楽や食べ物を楽しめそうだ。

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