今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実

学生数の減少は特に低ランク大学で入学試験の形骸化も招いている photoAC
<関東の低ランク私大では学生が定員の60%に満たない学部が続出している>
18歳人口の減少により、経営が苦しい大学が増えている。全国の私立大学のうち、入学定員充足率が100%に満たない、すなわち定員割れを起こしている大学の割合を見ると、1990年では4.1%だったが2024年では59.2%にもなっている(日本私立学校振興・共済事業団)。今では、私大の6割が定員割れだ。
廃校に追い込まれる大学も出てきている。1カ月ほど前、京都ノートルダム女子大学が学生募集停止を発表したが、この大学はどれほどの苦境にあったか。昨年春の定員充足率を学部別に見ると、国際言語文化学部が51.1%、現代人間学部が56.4%(旺文社『大学の真の実力2025』)。定員の半分しか学生が集まらず、かなり苦しかったことがうかがえる。
だが、同程度の危機にある大学(学部)は他にもある。関東1都6県の195私立大学・751学部の定員充足率を計算し、分布をとってみると、60%未満の学部の割合は5.6%、80%未満にまで広げると15.3.%となっている。
偏差値が低い学部だと、この割合はもっと高くなる。<表1>は、751の学部を偏差値のグループ別に分けて、定員充足率の分布をとったものだ。
F群は偏差値45未満、E群は45以上50未満、D群は50以上55未満、C群は55以上60未満、B群は60以上65未満、A群は65以上を意味する。
横線より上が定員割れの学部だが、F群では全体の70.4%にもなる。E群では57.5%、D群では22.5%と、ランクが上がるにつれて低くなっていく。A群になると、反転して定員割れの率が高くなるのは、入試を厳格に行っていて、合格者を多く出していないためだろう。東大等の有力国立大学に流れる者も多いとみられる。
定員割れの深刻度にはレベルがあるが、F群では充足率80%未満の学部が42.3%、60%未満が19.7%を占める。上記の京都ノートルダム女子大学と同じくらいの危険度で、いつ同じ状況に追い込まれてもおかしくない「閉鎖予備軍」だ。
「大学全入」を通り越して「大学倒産」時代になると言われているが、偏差値グループ別に分析すると、事態の深刻さがより伝わってくる。2040年の大学入学者の推計値は46万人で、今の3分の2になる。こうなった時、F群やE群の大学は撤退させられている可能性が高い。