最新記事
印パ関係

インドが切った「インダス川」のカード...テロに「水」で反撃した真意とは?

INDIA’S WATER WEAPON

2025年5月12日(月)17時50分
ブラマ・チェラニ(インド政策研究センター教授)
インダス川

印パの衝突の裏にはインダス川の水資源をめぐる争いも FRANK BIENEWALDーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES

<より強力な立場にあるインドと、世界銀行が仲介したインダス水協定(IWT)について>

カシミール地方のインド支配地域で4月22日、イスラム過激派組織(うち2人はパキスタン人と判明)が民間人26人を殺害した。

ヒンドゥー教徒の観光客が標的にされた残忍な襲撃だったが、驚きではなかった。テロ集団は長らく強力なパキスタン軍の支援を受け、同国内から自由に活動してきた。

これまでと異なるのは、インドがついに反撃の方法を見いだした可能性があること。そこにはパキスタンのテロリスト拠点への軍事攻撃も含まれ、インド当局は攻撃について「慎重かつ正当で、事態をエスカレートさせないよう計画されたもの」と主張している。


報復合戦のリスクはあるが、より強力な立場にあるインドは、自国の有利になるよう紛争をエスカレートさせることも緩和させることもできる。

しかし、インドが直面する脅威はパキスタンからのものだけではない。中国は一貫して、インドにとってテロ支援国のパキスタンを外交的、戦略的に擁護してきた。中国にとって敵の敵は「強固な盟友」なのだ。

その結果、インドは緊密に連携した2つの核保有国に挟まれる形となっている。

パキスタンによる残忍なテロ攻撃から、ドクラム高地やラダック地方における中国の大胆な領土占拠まで、最近の危機は中パの戦略的連携がインドにとっていかに深刻な脅威であるかを浮き彫りにしている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

クルド武装組織が解散決定、「歴史的使命完了」 トル

ワールド

印パ、停戦後の段階に向け軍事責任者が協議へ 開始遅

ワールド

米中、関税率を115%引き下げ・一部90日停止 ス

ビジネス

トランプ米大統領、薬価を59%引き下げると表明
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王子との微笑ましい瞬間が拡散
  • 3
    「隠れ糖分」による「うつ」に要注意...男性が女性よりも気を付けなくてはならない理由とは?
  • 4
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 5
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    ロシア艦船用レーダーシステム「ザスロン」に、ウク…
  • 9
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 10
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 6
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中