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荒川河畔の「原住民」(28)

「スマホはある」「四季を体験したい」新人ホームレスが最も不便に思うことは?

2025年4月26日(土)18時45分
文・写真:趙海成

「君の師匠はまだ年寄りではない。しかし、すでに20年以上のホームレスの経験があり、受けた苦しみは数え切れないほどです。自殺未遂も7回ありました。

彼はまだ倒れるほどではないですが、すでに身体は酷使されています。これから彼の弟子になるということは、もちろん同時にお互いに助け合う仲間になることです。君は携帯電話を持っているから、もし彼に何かあったら、私に連絡してください」

宇海くんはこう答えた。

「私は征一郎師匠と会ったとき、優しい人だと感じました。私のことにもとても気を配ってくれました。だから、彼のところに来ると、もうほかの場所には行けないと思ったのです。

師匠に助けが必要なとき、私はためらいません。もしも将来、私が社会復帰したら、必ず征一郎師匠には恩返しをするつもりです」

テントを固定するために川辺から大きな石を運んできた

台風に吹き飛ばされないよう、テントを固定するために川辺から大きな石を運んできた宇海くん

ホームレスになって一番の不便は「トイレ」

4月のある月曜日、私は新人ホームレスの宇海くんを訪ねた。

彼の登山用の小さなテントはキャンプ用の中型テントに変身していた。両側には窓があり、風通しが良くなっている。

テントの四隅は鋼の杭で地面に固定されており、さらに川辺から2つの大きな石を運んできて、窓のある両側に置いてあった。台風でテントが飛ばされないようにするためである。

テントの中もきちんと整理されている。小さなテーブルの下にガスコンロが置かれており、左下のスーツケースの横には白いメッシュ状の物があった。夜に読書するためのソーラーランプだという。

さすが宇海くんは野外生活の経験があり、しっかりと生活用品を揃えている。

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