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荒川河畔の「原住民」(28)

「スマホはある」「四季を体験したい」新人ホームレスが最も不便に思うことは?

2025年4月26日(土)18時45分
文・写真:趙海成

十数年前のある日、征一郎さんは拾ったばかりのアルミ缶をそばに置き、公園の道端で休んでいた。すると、髭の生えたおじさんが彼の前を通り過ぎた。征一郎さんのアルミ缶をチラチラ見ていたという。

しばらくして、そのおじさんが征一郎さんに歩み寄り、話しかけてきた。

「ここにあるアルミ缶は何に使うのですか?」

「お金に換えて生計を立てるんです」と、征一郎さんは答えた。

「少し分けてくれませんか」

「もちろん、欲しいだけ取っていいですよ! 必要なら、アルミ缶を集められる場所をいくつか教えてあげますから、自分で取りに行ってもいいんです」

征一郎さんは微笑みながらそのおじさんに言った。そのおじさんが、当時生活上のトラブルに見舞われたばかりで困っていた桂さんだった。

桂さんはホームレスになることを考えていたが、どうやって生計を立てていくのかを心配していた。そんな時に征一郎さんの話を聞き、うれしくてたまらなかったという。

このような「一期一会」の機会に恵まれた桂さんと征一郎さんは、ほどなく親友になったのである。

社会復帰したら、師匠に恩返しがしたい

もちろん、今の征一郎さんの体力や精神状態は、十数年前には及ばない。しかし、人助けをしたいと思う性格は変わっていない。

宇海くんへの接し方を見ていると、彼を弟子として快く受け入れたことが分かる。

私は宇海くんに言った。

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