最新記事
BOOKS

「母親になるべきじゃなかった」と断言する、3人の子を持つ女性。楽になったきっかけは...

2025年2月23日(日)21時10分
印南敦史(作家、書評家)

子どもはもう手が離れ、後悔を口にしなくても済む状況にはなったが、「私だってできたからみんな大丈夫よ」と"なかったこと"にしてしまったら、それは自身の苦しかった状況を黙認することになってしまうと感じたというのである。

高度経済成長が終わりを迎えた時期に生まれた世代。父親は仕事一筋の「企業戦士」で、母親はそんな夫を献身的に支えた。そのため、いつか母になることが決まっていたように思いながら育つが、小さいころから違和感のようなものがあったという。

大学卒業後は東京の証券会社に正社員として就職し、窓口で証券を販売する営業職としてよい成績を維持する。そののち転職してからも順調にキャリアを積み重ねるが、それまで「男に負けるな」と言っていた父が「25歳を過ぎたら嫁に行けなくなる」と焦り出し、見合い相手を探し始める。

自閉症、重いアレルギー、そして長男に「一緒に死のう」

結婚したいとは思っていなかったものの、厳しい父親の管理下から逃れ、波風を立てずに実家を出るため、26歳のときに当時交際していた現在の夫と結婚した。しかしその後、大阪に転勤となった夫に同行してからのキャリアは思い描いていた軌道とは異なる方向に進んでいった。

27歳で妊娠するも、当時はまだ育児休業を経て職場に復帰するという流れの前例がなく、専業主婦としての生活が始まる。そして28歳で出産を迎え、長男と対面する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

トランプ氏対FRBの構図、市場が波乱要素として警戒

ワールド

トランプ氏、プーチン氏と近く協議と表明 ロシア「迅

ワールド

関税下げの米大統領令署名、重要な一歩として歓迎=加

ワールド

シェフチョビッチ欧州委員、来週インド訪問 自由貿易
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 8
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 9
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中