最新記事
BOOKS

「母親になるべきじゃなかった」と断言する、3人の子を持つ女性。楽になったきっかけは...

2025年2月23日(日)21時10分
印南敦史(作家、書評家)


 息子を初めて抱っこしたとき、私が親から言われてきた「子どもは分身だ」という言葉は間違っていたんだとはっきり分かりました。彼の命は彼のものだと感じました。血を分けた子どもだとかいうことではなくて、自分とは違うひとりの個体だと思って一緒に暮らしていこうと思いました。(29ページより)

自分がお母さんになれるのだろうかという不安があり、「母親ってこういうもの」というようなイメージを耳にすると、自分には合わないような気もしたそうだ。ましてや自分の思いどおりにならないのが子育てなのだから、さまざまな困難を乗り越えなければならなかった。

のちに長男は自閉症スペクトラム症であることがわかり、31歳のときに生まれた娘には重いアレルギーがあった。34歳で次男を出産するが、自分に母親としての資質があるとは思えなかった。

やがて死を意識するようになり、「お母さんと一緒に死のう」と告げる。すると、6歳だった長男から思いもよらない答えが返ってきた。


「死にたいなら、お母さんひとりで死んで。僕は生きて、将来役に立つ人になる」(40ページより)

そのとき思い出したのは、「この子は私のものじゃない。息子と私は別の人間だ」と感じたときのことだった。そしてそこから、子どもとの関係性に変化が生まれていった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

植田総裁、10月3日に大阪で地元経済界と懇談 午後

ワールド

米NY州で数十人拘束、移民捜査局の強制捜査で 知事

ビジネス

景気一致指数7月は2.6ポイント低下、輸出減で2カ

ワールド

情報BOX:対米投資5500億ドルの覚書、日本が指
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...地球への衝突確率は? 監視と対策は十分か?
  • 2
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 3
    「よく眠る人が長生き」は本当なのか?...「睡眠障害」でも健康長寿な「100歳超えの人々」の秘密
  • 4
    「生きられない」と生後数日で手放された2本脚のダ…
  • 5
    「あのホラー映画が現実に...」カヤック中の男性に接…
  • 6
    眠らないと脳にゴミがたまる...「脳を守る」3つの習…
  • 7
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 8
    世論が望まぬ「石破おろし」で盛り上がる自民党...次…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「農産物の輸出額」が多い「…
  • 10
    SNSで拡散されたトランプ死亡説、本人は完全否定する…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 4
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 5
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 6
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 7
    【動画あり】9月初旬に複数の小惑星が地球に接近...…
  • 8
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 9
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 10
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を呼びかけ ライオンのエサに
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 9
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中