最新記事
教育費

春に上京する大学新入生を直撃する、学費と下宿費のダブルの負担

2025年2月12日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

なお東京都内の地域差もある。4月からわが子を東京に住まわせようという保護者は、家賃が安いエリアはどこかを血眼で探していることだろう。都内の区市別に、単身部屋の家賃中央値を計算してみた。<表2>は、高い順に並べたランキングだ。

newsweekjp20250212015224-7eab6b34f5c7c08e1a0b709a4b9644b01ebe0501.png


東京の中でも特別区(23区)の家賃は高い。14の区で7万円を超え、都心の3区では9万円を超える。最も高い港区では、1ルームでも10万円近くだ。最近、キャンパスを都心に移す大学が増えているが(大学の都心回帰)、学生の住居費負担が大きくなることも懸念される。

独立生計者の場合、23区内に単身用のアパートを借りるのも容易でないだろう。家賃保証会社の利用条件として「家賃の3倍以上の月収」を求められることが多い。通勤地獄は御免と23区内に住もうにも、月収15~16万円の新卒フレッシュマンでは難しい。それで1ルームならぬ半ルーム(3畳)に住む者もいる。これなどは、「住」の貧困に他ならない。

若者が高等教育を受ける機会を保証すること、また自立を促す上でも「住」の支援は重要となる。その点、地方は大きなアドバンテージを持っている。<表1>の都道府県データを見ると、地方では家賃がすこぶる安い。IT化(リモート化)の進行により、どこで働いても収入は同じという人が増えてくる。都会から人を呼び寄せるに際して、強調するべきアピールポイントだ。

<資料:総務省『住宅土地統計』(2023年)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ政権の「敵性外国人法」適用は違法 連邦地裁

ビジネス

伊藤忠商事、今期2.2%増益見込む 市場予想と同水

ワールド

米予算教書、FBIや麻薬取締局の予算削減と関係筋 

ワールド

トランプ氏、2日に予算教書公表 環境・対外援助など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    目を「飛ばす特技」でギネス世界記録に...ウルグアイ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中