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大学と学生のミスマッチ? この10年で急増する「仮面浪人」

2025年1月22日(水)10時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

前年の大学・短大入学者数に占める割合にすると2025年では7.5%。大雑把に言うと、大学等の入学者の13人に1人が「やはり違うな」と、別の大学等を受け直す、ということになる(再受験者の全てが1年生とした場合)。前掲の朝日新聞記事で矢野眞和教授(教育社会学)は「家計の事情で浪人をあきらめて不本意な大学に入る学生が目立ってきている」と指摘しているが、そういう事情もあるだろう。

現在、大学全入時代に突入している。どこそこの大学のオープンキャンパスに行けばチヤホヤされ、いい気分になって「ここにするか」と安易に決めてしまう者もいる。AO入試や推薦等で簡単に入れる大学に流れる、ということも多くなっている。こういう状況の中で、入学後に違和感を抱き、「やっぱり別のところを受け直そう」と思い立つ学生が増えるというのは、ある意味当然のことだ。

「大学選びは慎重に」と言うのは簡単だが、18歳の時点までに将来展望を固めるのは難しい。大学間の移行(transfer)のルートを広げるのも必要かもしれない。編入の制度はあるものの、間口は狭い。学びの場の選択肢(高等教育機関の数)が増えているだけに、変更の機会を確保することも求められるだろう。


<資料:文科省『学校基本調査』
大学入試センター「平成27年度大学入試センター試験の志願者数について」「令和7年度大学入学共通テストの志願者数について」>

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