最新記事
イギリス政治

「ジョークも痛々しい」スターマー英首相の転落ぶりには目を見張るものがある...「伸び代しかない」

KEIR STARMER

2024年12月25日(水)14時30分
コリン・ジョイス(在英ジャーナリスト)
キア・スターマー英首相

KIRSTY WIGGLESWORTHーPOOLーREUTERS

<選挙で大勝したのに出だしで致命的につまずいた地味な英首相には、態勢立て直しの時間だけはたっぷりある>

彼は2024年7月のイギリス総選挙で、労働党を約20年ぶりの勝利に導いた。さらにそれは、彼に変化の舵取りのための明確な権限を与えるほどの大勝だった。

キア・スターマー英首相は今後5年間は首相の座にあり、2025年は彼が真に名を成す年になるはずだ。ところが、今の彼にはこんな質問がふさわしい──なんでこうなっちゃったの、キア?


国民の支持は気まぐれなもの。野党時代に大胆な公約を掲げていた政党は、実際に政権を担うようになると魅力を失う場合が多い。それでも、スターマーの転落は目を見張るものがある。

選挙の大勝から数カ月で、彼の支持率はリシ・スナク前首相を下回った。年末のある世論調査では、労働党の支持率は下野した保守党だけでなく、傍流だった極右「リフォームUK」にも僅差で負けている。

それで、何がまずかったのだろうか? まず「不測の事態」という問題がある。就任わずか数週間でスターマーは危機に直面した。北西部サウスポートで発生した殺傷事件が全土で反移民暴動を引き起こしたのだ。

暴徒を逮捕、投獄して毅然と対処したのは評価された。だが、刑務所の過密緩和のため何千人もの犯罪者の早期釈放を認めたせいで、「ダブスタ・キア」と揶揄される羽目に。政治的に好まざる人に厳しく、強盗犯や窃盗犯に甘いと批判されたのだ。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中