「移民が犬や猫を食べている」と言われた町がいま願うこと
Springfield Bomb Threats Coming From Overseas Bots: Mayor
スプリングフィールドに住んで40年になるというカップル(9月15日) USA TODAY NETWORK via Reuters Connect
<テレビ討論会でトランプが主張したデマのせいで、全米の注目を集めているオハイオ州スプリングフィールド。数十件の爆破予告への対応にも追われ、町は大混乱だが>
アメリカ中西部オハイオ州の都市スプリングフィールドは、このところ全国的な注目を集めている。9月10日のテレビ討論会で、共和党の大統領候補であるドナルド・トランプ前大統領が、スプリングフィールドでは、ハイチからの移民がペットの犬や猫を食べていると主張したからだ。
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それから一週間、ドナルド・トランプ前大統領と、彼の副大統領候補でオハイオ州選出のJ・D・バンス上院議員が唱え始めた、移民が「ペットを食べている」という根拠のない主張で同市は大変な混乱に巻き込まれている。
トランプ発言の後、5日ほどの間に同市の市役所、医療施設、学校、大学には33件を超える爆破予告があった。オハイオ州のマイク・デワイン知事は16日、その多くが海外からのものであり、すべてがでっちあげだったことを明らかにした。
「嫌がらせ目的のプログラムとみられ、どれも同じような発信元から、同じような文言で発信されている。間違いなく危険なもので、断固として捜査を続ける」と、スプリングフィールド市長のロブ・ルーは17日のインタビューで述べた。
犬猫を食べているという話は事実ではないと否定する一方、移民の流入による急激な人口増加のため、市が難題に直面しているのは事実だと、ルーは言う。
市にはここ数年で1万2000人から1万5000人の人口流入があり、さらに増える可能性がある、とルーは本誌に語った。
つまり、当初5万8000人〜6万人だった市の人口は、20%〜25%も増加。予算不足で、救急、医療、教育サービスを圧迫している。ホームレスや住宅費の高騰、失業などの問題もある。
憎悪ではなく支援を
「この市の住民は助けを必要としているのであって、国家の頂点に立とうとする人々からの憎しみは必要ない」と、ルーは言う。
「11月の選挙でこの問題に決着がつくとは思えない」と、ルーは本誌に語った。「出てくる解決策といえば、国境に壁を作るか、完全に穴だらけにするかのどちらかだ。現実の役に立たない」
スプリングフィールドへの注目は今も止まず、脅迫も続いているため、地元の2つの大学は対面講義を1週間中止し、リモート授業に切り替えた。
移民の流入に不満を抱いている住民もいるが、新しい隣人を支持し、彼らを受け入れたいと思っている住民も大勢いると、ルーは言う。
「1~2週間でこの問題が忘れ去られても、悪いイメージを一掃する仕事が残る」と、ルーは付け加えた。