最新記事
追悼

「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家の「早すぎる死」から政府は何を学べるか

TORIYAMA AND SOFT POWER

2024年4月25日(木)12時11分
トム・リー(米ポモナ大学准教授〔政治学〕)
ペルーにある鳥山明を追悼する壁画

ペルーでは鳥山の死を悼む巨大壁画が CARLOS GARCIA GRANTHON-FOTOHOLICA PRESS-LIGHTROCKET/GETTY IMAGES

<キャラクターとストーリーで世界中を魅了。ソフトパワーを見せつけた男が遺したもの>

3月8日、漫画家の鳥山明が同月1日に死去していたことが明らかになった。『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』など人気シリーズの生みの親の訃報に、世界中が深い悲しみに沈んだ。

エマニュエル・マクロン仏大統領や中国外務省の毛寧(マオ・ニン)副報道局長ら各国の首脳や高官も哀悼の意を表明。ファンはオンラインゲームの中で、あるいは現実の世界で追悼集会を開いて祈りをささげた。

3月10日の山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』と宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』のアカデミー賞受賞や、ネットフリックスでの『ONE PIECE』実写化の成功に加え、鳥山への称賛の嵐が巻き起こったことで、こうした日本のポップカルチャーに対する賛辞を政府の数十年に及ぶクールジャパン戦略のたまものと勘違いする向きもあるかもしれない。

だが鳥山の死に対する反応は、文化外交の成功が結局は良質な物語を生み出すクリエーターやアーティストの肩にかかっていることを明らかにするはずだ。

鳥山のドラゴンボールシリーズは数々のアニメ、映画、ビデオゲーム、関連商品を生み、現代日本のポップカルチャーの基盤となってきた。『ONE PIECE』や『NARUTO -ナルト-』など他の有名漫画家の作品にも影響を与えている。

鳥山は『ドラゴンクエスト』『クロノ・トリガー』など、名作ゲームシリーズのキャラクターデザインも手がけた。つまり、ドラゴンボールは世界に打って出る前から、国内でポップカルチャーの豊かで多様な環境を育んでいたわけだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ポンド下落、英中銀の利下げを確実視

ワールド

米国防権限法案、上院で可決 過去最大の9010億ド

ワールド

米財務長官、FRB議長候補ハセット氏への懸念を「ば

ワールド

ゼレンスキー氏「戦争継続が無意味と示す必要」、同盟
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】「日の丸造船」復権へ...国策で関連銘柄が軒…
  • 9
    9歳の娘が「一晩で別人に」...母娘が送った「地獄の…
  • 10
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中