最新記事
日韓関係

慰安婦問題を巡る日韓の対話──ソウルで歴史的なシンポジウムが開催された

2023年9月15日(金)14時30分
佐々木和義

反反日派は時間がないという。現在、生存している慰安婦は9人で平均年齢は94.4歳。韓国人は元慰安婦の生活を支援しようと多額の寄付を行なってきたが、李容洙(イ・ヨンス)さんの暴露で、元慰安婦の手にほとんど渡っていなかったことが判明した。

生存者がいなくなると、信頼を失っている正義連は、活動意義も失って事実上の解体に追い込まれるだろうし、そうなれば慰安婦像の撤去も時間の問題となるだろう。

慰安婦像は正義連の前身である挺対協が設置した。反日派が像の横にテントを張って監視をしてきたが、管理者がいなくなった道路占有物は、道路管理者である区が安全上の理由から撤去するのが通例だ。

R0020858.jpg

9月6日-反日派と慰安婦像


R0020810.jpg

9月6日-旧日本大使館前で行われた反反日派の集会


反反日派と関係なく正義連が活動を停止し、像が撤去されると反反日派の主張が有耶無耶になる可能性がある。反反日派のあるメンバーは元慰安婦の生存中に少なくとも旧日本大使館前に設置された慰安婦像の撤去が目標と話す。

隣り合って同時に行われる反日派の集会と反反日派の集会に、市民が気に留める様子はない。集会は昼12時から13時に行われる。近隣のオフィスビルの人たちは、集会を気に留めることなく昼食を摂るため食堂に向かい、昼食後もそのままオフィスに戻る。ごく一部の人だけが、シュプレヒコールや歌といったパフォーマンスを遠巻きに眺めている。昼食後の残った昼休み時間にショーを見ている感覚だろう。両団体の衝突に備えて警備する50人から60人の警察官も多くが手持ち無沙汰で、時間が経つのを待っている。

慰安婦被害者の現状

韓国メディアは元慰安婦を「慰安婦被害者」と表記する。証言によると元慰安婦らは1年から2年余り、慰安所で生活したという。挺対協が発足した1992年から現在まで30年余り、反日団体や反日政権に振り回され、また元慰安婦とは関係ない第三者がカネを得る手段にされてきた。これまでの人生や日常の生活が多くの人々の目に晒され、プライバシーが剥奪された「被害者」ともいえそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-プーチン大統領、ウクライナ停戦

ビジネス

米耐久財受注、4月は0.7%増 設備投資の回復示唆

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、5月確報値は5カ月ぶり低

ビジネス

為替変動「いつ何時でも必要な措置」=神田財務官
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目の前だ

  • 2

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 3

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決するとき

  • 4

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 5

    この夏流行?新型コロナウイルスの変異ウイルス「FLi…

  • 6

    テストステロン値が低いと早死にするリスクが高まる─…

  • 7

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 8

    日本を苦しめる「デジタル赤字」...問題解決のために…

  • 9

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 10

    「現代のネロ帝」...モディの圧力でインドのジャーナ…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 6

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 7

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中