最新記事

ロシア

動員ロシア兵100人超の「反乱」発生...報酬の不払いに不満を爆発させる様子が動画に

Putin Facing Revolt After Soldiers Aren't Paid

2022年11月4日(金)17時04分
ニック・モードワネック
ロシア部分動員

動員されたロシアの予備役(2022年9月) REUTERS/Stringer

<訓練センターの屋外に集結して報酬の支払いを叫ぶ100人以上の兵士たち。約束の金銭が支払われず不満が爆発するケースが続発しているようだ>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による部分動員令によって招集された兵士たちが、政府から報酬が支払われていないとして「実力行使」に出る事態が相次いでいる。SNSには、新兵用の訓練センターの敷地内で100人以上が集まって抗議のスローガンを叫ぶ姿を映した動画のほか、仲間たちが見守る中で上官と対峙して報酬の支払いを訴える兵士の動画などが次々に投稿されている。

■【動画】集団で報酬の支払いを要求する兵士たち、上官に不満をぶちまける兵士も

ロシアの独立系ニュース機関「7x7 Horizontal Russia」によると、大規模な抗議活動を起こしたのは、中部ウリヤノフスクの訓練所にいるチュバシ共和国出身の兵士らだったという。兵士らは同メディアに対し、19万5000ルーブル(約46万円)の支給を約束されたが、いまだに受け取っていないため、戦闘に参加するのをやめるストライキを実施すると語った。

7x7は2日付のテレグラムの投稿で、ストライキの参加者の1人は、動員兵は全員「だまされて」おり、「二束三文で戦地に送られる」と話したと伝えた。

別の動員兵は、ロシア当局が兵士の親族による訪問を禁止し、休暇の取得も認めなかったと明かしたという。ストライキはその後、機動隊によって中止させられた。

ロシアにおける汚職や拷問の撲滅を目的とした人権プロジェクトを自称する「Gulagu.net」によれば、経済的支援を受けるという期待を裏切られた兵士たちは、自分たちが何のために家族を残してやってきたのか疑問を抱くようになったという。

同団体はまた、「チュバシュ共和国の動員兵は、あなた方に救いを求めている!」と投稿。「我々はあなた方の安全と平和な生活のために、自らの命を危険にさらし、確実に死に向かっている!(中略)特別軍事作戦への参加を拒否し、ロシア連邦大統領率いる政府から約束された給与が支払われるまで、正義を求めていく!」と述べた。

動員兵によるストライキの後、ネットメディア「Sota」は、ウリヤノフスクの訓練所では射撃演習が中止され、武器保管室が施錠されたと報じた。

ロシアは「密かに」兵士動員を継続中との情報も

ロシアの動員兵らによる抗議の声は、相次いで伝えられている。2日にツイッターに投稿された動画では、ロシア軍に加わることで支払われると約束された30万ルーブル(約71万円)が家族に支払われていないと兵士らが上官に訴えている。

「ロシアのモビク(動員兵)は、『約束された』30万ルーブルを一括で支払うよう求めているが、軍の代表は彼らに約束はしていないと主張している」と投稿者は述べている。それを聞いた兵士からは、それなら「議員たちが自ら戦地に行け」との声が上がった。

ロイター通信は、ロシアの2023年の予算には、ウクライナとの戦闘のために兵士約30万人を動員する費用や、自国の領土と主張するウクライナ4州を併合する費用が考慮されていないと報じた。

ロシア軍高官は先月21日、動員された兵士約1万人が「様々な理由」で帰国させられたと発表したが、米シンクタンク軍事研究所(ISW)によると、ロシア軍は兵士を「密かに」動員し続けている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ステファニク下院議員、NY州知事選出馬を表明 トラ

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、11月速報値は約3年半ぶ

ワールド

イラン大統領「平和望むが屈辱は受け入れず」、核・ミ

ワールド

米雇用統計、異例の2カ月連続公表見送り 10月分は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 9
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 10
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中