最新記事

中東

UAE首都アブダビで燃料トラック爆発3人死亡 イエメンのフーシ派が犯行声明

2022年1月18日(火)09時51分
アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビ

アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで17日、燃料トラック3台が爆発し3人が死亡したほか、アブダビ空港近くで火災が発生した。無人機(ドローン)攻撃とみられ、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行を主張した。2020年4月撮影(2022年 ロイター/Christopher Pike)

アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで17日、燃料トラック3台が爆発し3人が死亡したほか、アブダビ空港近くで火災が発生した。イエメンの親イラン武装組織フーシ派の軍事報道官は、ドバイ空港およびアブダビ空港や石油精製所などに弾道ミサイル5発と「多数の」無人機を発射したと発表した。

UAE外務省は声明で「フーシ派による領内の地域および民間施設へのテロ攻撃を非難する。決して許されることではない」と表明。「UAEにはこれらの攻撃や犯罪が激化することに対応する権利がある」とした。

UAEの国営メディアによると、ブリンケン米国務長官はUAEのアブドラ外務・国際協力相と電話会談し攻撃を非難。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、ホワイトハウスはフーシ派の責任追及に努めるとした。

アブダビ警察によると、アブダビ国営石油会社(ADNOC)の施設周辺で燃料タンクローリー3台が爆発し、3人が死亡、6人が負傷した。死亡したのはインド人2人、パキスタン1人という。

ソーシャルメディアの映像では同施設周辺から黒煙が立ち上る様子が映された。警察は同地域に向かう道路を閉鎖した。

アブダビ警察は「初動捜査では、両現場で無人機(ドローン)とみられる小型航空機の部品が見つかっており、これが爆発と火災を引き起こした可能性がある」と発表した。アブダビ警察はミサイルに関して言及していない。

UAEのエティハド航空の広報担当者は、アブダビ空港では「予防措置」のために少数の航空便に一時的な混乱が見られたが、すぐに通常の運航が再開されたとした。

フーシ派の広報担当者は「UAEの深部」で軍事作戦を開始したと発表。フーシ派の交渉責任者が「イエメンへの干渉」を巡りUAEにけん制したという。

UAEの政治アナリストは、フーシ派による攻撃が確認されれば、UAEおよび湾岸諸国とイランとの対話が頓挫する可能性があると述べていた。

サウジアラビアとバーレーンは「卑怯なテロリストによる」攻撃と非難。イラン当局は現時点でコメントを発表していないが、イランのタスニム通信は「重要な作戦」だと報じた。

国連のグテレス事務総長の報道官によると、グテレス事務総長は攻撃を非難した上で、「全ての当事者に最大限の自制を求め、地域の緊張が高まる中で事態を悪化させないよう」呼び掛けた。

フランスのルドリアン外相は、今回の攻撃は地域の安定性を脅かすと述べた。

ロイターの目撃者によると、UAEへの攻撃があった後、サウジアラビアが主導する連合軍が17日、サウジに向けて発射された無人機8機を迎撃し、その後、フーシ派が拠点としているイエメンの首都サヌアに空爆を実施。関係者によると空爆で死者が出たという。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・コロナ感染で男性器の「サイズが縮小」との報告が相次ぐ、「一生このまま」と医師
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・日本のコロナ療養が羨ましい!無料で大量の食料支援に感動の声
・コーギー犬をバールで殺害 中国当局がコロナ対策で...批判噴出


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、日本産食品の輸入規制撤廃求める 日中首脳

ワールド

台湾の頼総統、中国軍事演習終了後にあらためて相互理

ビジネス

ロシア事業手掛ける欧州の銀行は多くのリスクに直面=

ビジネス

ECB、利下げの必要性でコンセンサス高まる=伊中銀
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    アウディーイウカ近郊の「地雷原」に突っ込んだロシ…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    なぜ? 大胆なマタニティルックを次々披露するヘイリ…

  • 7

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像を…

  • 8

    批判浴びる「女子バスケ界の新星」を激励...ケイトリ…

  • 9

    カミラ王妃が「メーガン妃の結婚」について語ったこ…

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 5

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 6

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 7

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 8

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 9

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 10

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中