最新記事

新型コロナ変異株

デルタ株は症状が違う? ワクチンの効果はいつから弱る?〈変異株とワクチンQ&A〉

HOW TO COPE WITH DELTA

2021年8月21日(土)12時05分
フレッド・グタール、ミーガン・ガン
新型コロナウイルス

ILLUSTRATION BY ANDRIY ONUFRIYENKO/GETTY IMAGES

<脅威が増す変異株への賢い対処法を考える。11の素朴な疑問に答えます(前編)>

※本誌8月24日号「日本人が知らない 変異株の正体」特集より

コロナ禍を生き抜く上で厄介なのは、刻々と変異を続けるウイルスの最新情報をフォローしなくてはならないことだ。

公衆衛生当局の勧告を自分の状況に合わせて取り入れるには、さまざまなリスクを考慮して、適切な判断を下す必要がある。

ワクチンはウイルスから身を守るのに有効ではある。しかし感染が急激に拡大すれば、ワクチンを接種していようといまいと、全ての人の感染リスクが高まる。

従来株よりもはるかに感染力が強いデルタ株の流行によって、そのリスクはさらに高まっている。

そのため米疾病対策センター(CDC)は7月末、感染拡大地域ではワクチン接種を済ませた人にも屋内でのマスク着用を求める勧告を出した。

何をどう判断するかは、個人の状況や考え方によって変わる。例えば免疫系が弱い人は、そうでない人より慎重になるべきだろう。

脅威が増すばかりのデルタ株に関することを中心に、よくある疑問を11点に絞って、現時点での答えを紹介する。

◇ ◇ ◇

【1】ワクチンを接種していてもデルタ株に感染するリスクはどれくらい?

ワクチンによって異なる。

7月に医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに発表された研究では、ファイザー製ワクチンを2回接種した場合、デルタ株の発症予防効果は88%と、アルファ株の93.7%より低かった。モデルナ製ワクチンの有効率も同程度と考えられている。

アストラゼネカ製ワクチンは、デルタ株に対する有効率が67%、アルファ株については74.5%だった。

【2】ワクチンを接種した人が感染した場合、周囲にうつす可能性は?

可能性はある。ワシントン・ポスト紙が入手したCDCの内部文書によれば、ワクチンを接種していてもいなくても、デルタ株に感染した場合には周囲に感染をもたらす可能性はほとんど変わらないという。

しかしワクチンを接種した人は、ウイルスに対する免疫反応がより強いと思われるので、周囲に感染させる危険のある期間は短いだろう。ただし、この点は厳密に検証されてはいない。

【3】ワクチン接種後に感染した人も「長期コロナ感染症(長期の後遺症)」になる?

長期コロナ感染症については、詳しいことがほとんど分かっていない。

最近の研究では、ワクチン接種後に感染して発症した人の19%に6週間後にもまだ症状が見られた。しかしこれは、対象者が多くはない研究の1つにすぎない。さらにデータが得られるまで、明確な結論は下せない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

S&P、インド格付け見通し「ポジティブ」に 財政再

ビジネス

中国、固体電池研究に8.3億ドル超投資 6社が支援

ビジネス

訂正-バーゼル3、米次第でEUは一部実施遅らせるべ

ワールド

アングル:中朝の蜜月、「非核化」巡り隙間風 ちらつ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 2

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 3

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 4

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧…

  • 7

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 10

    「天国に一番近い島」で起きた暴動、フランスがニュ…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 6

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 7

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中