zzzzz

最新記事

中国

全人代「香港国家安全法案」は米中激突を加速させる

2020年5月25日(月)11時40分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

再燃するか香港デモ Bobby Yip-REUTERS

全人代が提出した香港の国家安全法案は、香港自治を脅かすとして香港市民だけでなくアメリカは激しく反発。香港は再び燃え、アフターコロナでは必ず米中激突の焦点の一つと化すだろう。政府活動報告と共に考察する。

李克強の政府活動報告

5月22日、北京の人民大会堂で全人代(全国人民代表大会)が開催され、李克強国務院総理が政府活動報告(以下、報告)を行った。先ずは報告の中で印象に残った点を列挙する。

1.新型コロナウイルス肺炎(以下、コロナ)の蔓延は中華人民共和国建国以来最大の試練であったとして、「感染症と経済・貿易の情勢においては不確定性が非常に高く、わが国の発展がいくつかの予測困難な影響要因に直面していることから、われわれは経済成長率について具体的な年間目標を提示していない」とした。

2.実際は1月20日のコロナに関する「重要指示」を出させたのは李克強と鍾南山で、そのとき習近平はのんびりと雲南省で春節巡りを楽しんでいたのだが、それでも李克強は報告で「コロナ発生後、党中央は感染症対策を最重要課題として捉え、習近平総書記が自ら指揮をとって、自ら配置を行い、人民の生命の安全と健康を第一に掲げることを堅持してきた」と表明した。中国の党組織としては当然と思う方が多いかもしれないが、重要なのは、この言葉は1月28日にWHOのテドロス事務局長が人民大会堂で習近平と会った時に表明した言葉と同じであることだ。いかにテドロスが習近平にコントロールされていたかを示す何よりの証左であるということができ、トランプがWHOを「中国の操り人形」と批判したのは当たっていることを奇しくも示す結果となった。

3.北京は米中国交正常化を成し遂げた1979年1月1日から、トウ小平による「台湾同胞に告ぐ書」に基づき、台湾との統一を「和平統一(和統)」と称してきた。しかし今年の政府活動報告にはこの「和平」という言葉がなく、「台湾同胞と連帯して共に台湾独立に反対し、統一を促進することで、われわれは必ずや民族復興の明るい未来を切り開くことができるであろう」と表現し、「和平」を使ってない。

4.李克強は最後に香港に関して「特別行政区が国家安全を守るための法制度・執行メカニズムを確立し、憲法によって定められた責任を特別行政区政府に履行させなければならない」とした。

香港国家安全法案を提起

報告が終わると、全人代常務委員会副委員長の王晨(おうしん)が「香港特別行政区の健全な国家安全の法律制度と執行機構を建立するための決定(草案)」に関する説明を始めた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾との平和的統一の見通し悪化、独立「断固阻止」と

ワールド

北朝鮮、韓国に向け新たに600個のごみ風船=韓国

ワールド

OPECプラス、2日会合はリヤドで一部対面開催か=

ワールド

アングル:デモやめ政界へ、欧州議会目指すグレタ世代
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    キャサリン妃「お気に入りブランド」廃業の衝撃...「肖像画ドレス」で歴史に名を刻んだ、プリンセス御用達

  • 3

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...すごすぎる日焼けあとが「痛そう」「ひどい」と話題に

  • 4

    ウクライナ「水上ドローン」が、ロシア黒海艦隊の「…

  • 5

    ヘンリー王子とメーガン妃の「ナイジェリア旅行」...…

  • 6

    「自閉症をポジティブに語ろう」の風潮はつらい...母…

  • 7

    ロシアT-90戦車を大破させたウクライナ軍ドローン「…

  • 8

    1日のうち「立つ」と「座る」どっちが多いと健康的?…

  • 9

    米女性の「日焼け」の形に、米ネットユーザーが大騒…

  • 10

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 1

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「回避」してロシア黒海艦隊に突撃する緊迫の瞬間

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 4

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 5

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 6

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 7

    仕事量も給料も減らさない「週4勤務」移行、アメリカ…

  • 8

    都知事選の候補者は東京の2つの課題から逃げるな

  • 9

    少子化が深刻化しているのは、もしかしてこれも理由?

  • 10

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    ウクライナ水上ドローンが、ヘリからの機銃掃射を「…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中