最新記事

動物

飼い主を殺害!「世界で最も危険な鳥」

What Is a Cassowary? Florida Man Killed by Exotic Bird

2019年4月16日(火)15時11分
カシュミラ・ガンダー

絶滅危惧種でもあるヒクイドリ、本来は大人しい性質だという danikancil/iStock.

<飼い主は、転んだところを襲われたらしい>

フロリダ州に住む男性が4月12日、飼育していた鳥に襲われて死亡したと、当局が発表した。死亡したマービン・ヘイオス(75歳)は、フロリダ州北部のアラチュア郡にある自分の農場で、エミューと同種の珍鳥ヒクイドリを飼育していたと、アラチュア郡保安官事務所の報道官、ブレット・ローデナイザー警部補が地元紙ゲインズビル・サンに対して述べた。

ローデナイザーは、飼い主を殺したヒクイドリは現在も農場内にいて、外に出られないようになっていると言った。警察は、飼い主が死亡したときの状況について捜査を開始している。

フロリダ州魚類・野生生物保存委員会の地域担当広報官カレン・パーカーによれば、ヘイオスは農場でヒクイドリを繁殖していた。

人のそばで放し飼いにされているヒクイドリ(終盤、爪がよく見える)


また、アラチュア郡消防本部の副部長ジェフ・テイラーはゲインズビル・サン紙にこう語った。「予想外の事故だったようだ。飼い主の男性はヒクイドリの近くにいて、うっかり転倒したのだと思う。そこをヒクイドリに襲われたのだろう」

ヒクイドリの縄張りに長居しすぎていたのかもしれない。

ヘイオスの婚約者で20年間同居しているという女性は同紙に、「彼は飼育するのが本当に好きだった」と語った。

ヒクイドリの特徴は黒い羽毛だ。羽毛のおかげで、ニューギニア島でもオーストラリアの熱帯雨林でも、体を乾いた状態に保つことができる。

サンディエゴ動物園のウェブサイトによれば、ヒクイドリは「世界で最も危険な鳥と呼ぶにふさわしい」。

一発で肉を切り裂く爪

ヒクイドリ(the southern cassowary)は、ヒクイドリ属のうち最大の種で、体高は1.2mから1.7mほど。ダチョウなどを含む走鳥類(翼が退化して飛べない鳥)に属し、雌の体重は約76kg、雄は約55kgと、ダチョウの次に重い。

同動物園によると、世界で最も危険な鳥と言われる理由は以下のような特徴だ。

・足の3本の指にはそれぞれ、短剣のような爪が生えており、最長で10cmにもなる。

・天敵だろうとハンターだろうと、たった一度の蹴りで肉を切り裂くことができる。脚力も強く、森林に生い茂るやぶの中を時速50キロで走り抜ける。

・2メートルの高さまでジャンプができるので、敵をうまくかわして逃げることができる。

フロリダ州魚類・野生生物保存委員会はヒクイドリを、2番目に人を襲う危険が高い野生動物として分類している。飼育者には十分な飼育経験と専用の檻が必要だ。販売や飼育、一般公開には許可が必要だ。

ワシントンのスミソニアン国立動物園で鳥類専門のアシスタントキュレーターを務めるエリック・スロバックは、ワシントン・ポスト紙に対してこう述べた。「ヒクイドリのあの爪で蹴られたら大怪我をする。確実に病院行きだ」

「あんな鳥をペットとして飼いたいなんて、理解できない」

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アルゼンチンCPI、4月は前年比+289.4% ピ

ビジネス

ボーイング、起訴猶予合意に違反 米司法省が見解 訴

ビジネス

米地銀NYCB、住宅ローン関連債権約50億ドルをJ

ビジネス

米インフレは依然高水準、FRBはまだやるべきことあ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少子化の本当の理由【アニメで解説】

  • 2

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 3

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 4

    アメリカからの武器援助を勘定に入れていない?プー…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    英供与車両から巨大な黒煙...ロシアのドローンが「貴…

  • 8

    ロシア国営企業の「赤字が止まらない」...20%も買い…

  • 9

    ユーロビジョン決勝、イスラエル歌手の登場に生中継…

  • 10

    「ゼレンスキー暗殺計画」はプーチンへの「贈り物」…

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 6

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 7

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    日本の10代は「スマホだけ」しか使いこなせない

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中