最新記事

自動車

アウディCEO、ディーゼル不正巡り逮捕 VW構造改革にも影響

2018年6月19日(火)10時10分

 6月18日、ドイツの高級自動車ブランド、アウディのルパート・シュタートラーCEO(写真)が18日朝、インゴルシュタットの自宅で逮捕された。同市で3月撮影(2018年 ロイター/Michael Dalder)

ドイツの高級自動車ブランド、アウディのルパート・シュタートラー最高経営責任者(CEO)が18日朝、インゴルシュタットの自宅で逮捕された。ミュンヘン検察当局は、CEOが排ガス不正問題に関する捜査を妨害する懸念があるとして身柄を拘束したと説明した。

当局は「6月18日、ディーゼル問題やアウディ製エンジンに関する捜査の一環として、シュタートラー氏に対する逮捕令状を執行した」と発表した。

ミュンへン検察当局は今月に入り、アウディに対する捜索を拡大。アウディの親会社であるフォルクスワーゲン(VW)が2015年9月に排ガス不正問題を明らかにしてから逮捕された関係者では、シュタートラー氏が最も地位の高い幹部となる。

シュタートラー氏は先に、詐欺や虚偽広告の容疑で家宅捜索を受けていた。違法ソフトウエアを搭載した乗用車を欧州市場で販売したことへの関与も疑われている。

VWの排ガス不正を巡る問題の多くは米国内のもの。ただ、ミュンヘン検察当局はシュタートラー氏の逮捕は米当局の要請を受けたものではないとしている。

VWはヘルベルト・ディースCEOの指揮下、シュタートラー氏も含め新しいリーダーシップ構造の導入を進めている。グループの販売責任者も務めていたシュタートラー氏の逮捕により、構造改革に支障が生じる恐れがある。

アウディとVWは、同氏の逮捕を確認。推定無罪の原則が適用されると述べた。

VWとアウディの幹部は18日、シュタートラー氏の逮捕を受けてそれぞれ会合を開催。VWの広報担当者は同日遅く、VWとアウディの取締役はシュタートラー氏不在のアウディの経営方法について話し合ったが、結論は出なかったと説明。「両社の監査役会は結論に至らず、引き続き状況の把握に努める」とした。

関係筋によると、ブラム・ショット氏がアウディの暫定CEOの最有力候補とされる。

南ドイツ新聞は、VWの監査役会はすでにショット氏をアウディの暫定CEOに指名済みで、アウディ取締役による正式な承認を待つのみだと伝えた。VWは報道を否定している。

18日の欧州株式市場で、VW株は3%安で取引を終えた。



[フランクフルト 18日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

20240521issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年5月21日号(5月14日発売)は「インドのヒント」特集。[モディ首相独占取材]矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディの言葉にあり

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米財務長官、ロシア凍結資産活用の前倒し提起へ 来週

ビジネス

マスク氏報酬と登記移転巡る株主投票、容易でない─テ

ビジネス

ブラックロック、AI投資で各国と協議 民間誘致も=

ビジネス

独VW、仏ルノーとの廉価版EV共同開発協議から撤退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた異常」...「極めて重要な発見」とは?

  • 2

    存在するはずのない系外惑星「ハルラ」をめぐる謎、さらに深まる

  • 3

    「円安を憂う声」は早晩消えていく

  • 4

    無名コメディアンによる狂気ドラマ『私のトナカイち…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 7

    中国のホテルで「麻酔」を打たれ、体を「ギプスで固…

  • 8

    他人から非難された...そんな時「釈迦牟尼の出した答…

  • 9

    「香りを嗅ぐだけで血管が若返る」毎朝のコーヒーに…

  • 10

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 1

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 2

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 3

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 4

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 5

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史…

  • 10

    地下室の排水口の中に、無数の触手を蠢かせる「謎の…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中