最新記事

日本政治

北朝鮮の脅威に非核三原則見直しの声 米軍の核持ち込みで抑止可能?

2017年9月6日(水)19時56分

9月6日、北朝鮮の核保有が現実味を帯びる中、日本で非核三原則の見直し論がにわかに高まってきた。横田基地で2013年4月撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)

北朝鮮の核保有が現実味を帯びる中、日本で非核三原則の見直し論がにわかに高まってきた。日本が自前で持たないまでも、米軍の核を持ち込み、抑止力を高めるべきというものだ。政府は議論の必要はないとするが、安全保障政策に携わる関係者からは「そろそろ三原則は二原則にするべきだ」との声が出ている。

石破茂元防衛相は6日の報道番組で「米国の核で守ってもらうと言いながら、日本国内に置かないというのは、議論として本当に正しいのか」などと発言。被爆国の日本が1960年代末から堅持してきた「持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則の見直し議論を提起した。

これに対し、菅義偉官房長官は同日午後の会見で反論。日本は「(非核三原則を)政策の方針として堅持している」と述べた。

しかし、三原則を見直すべきとの声は他の国会議員からも出ており、日本維新の会の足立康史衆院議員は、5日の衆院閉会中審査で「必要性があるなら、非核三原則の見直し議論が出るのはあり得る」などと発言している。

背景にあるのは、北朝鮮の核・ミサイル技術の急速な進展と、それに伴い米国の核抑止力への信頼が低下する可能性だ。

北朝鮮が米国本土まで届く弾道ミサイルと核弾頭を手にすれば、日本が北朝鮮から攻撃を受けた場合でも、米国は自国への報復を恐れて反撃をしない可能性が出てくる。「米国の拡大抑止は効かなくなる」と、拓殖大学・海外事情研究所所長の川上高司教授は言う。

日本は北朝鮮の弾道ミサイルに対する防御力を高めようと、陸上配備型の新たな迎撃ミサイルシステムを導入しようとしている。弾道ミサイルの発射台を叩く敵基地攻撃能力の保有議論もくすぶっている。だが、いずれも実現までには数年かかる。

日本は短期間で核武装が可能とみられているが、自国で核を作るとアジア各国に核ドミノを起こす恐れがある。NPT(核不拡散条約)体制を壊し、米国との同盟関係が傷つくなど、デメリットも大きい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トルコ製造業PMI、4月は50割れ 新規受注と生産

ビジネス

焦点:米国市場、FOMC後も動揺続く恐れ 指標の注

ビジネス

住商、マダガスカルのニッケル事業で減損 あらゆる選

ビジネス

肥満症薬のノボ・ノルディスク、需要急増で業績見通し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 10

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 9

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中