最新記事

ミャンマー

ロヒンギャ難民12万人超 沈黙貫くミャンマーのスー・チーに批判

2017年9月7日(木)18時16分

グテレス国連事務総長は5日、ミャンマーで起きている暴力が民族浄化と言えるかと記者から聞かれると、「われわれはリスクに直面しており、そうならないよう願う」と答えた。

「地域を不安定化しかねない状況を生み出しているこの暴力を必ず終わらせるよう、ミャンマーのあらゆる当局に求めたい」とグテレス氏は語った。

仏教徒が多数を占めるミャンマーに暮らす約110万人のロヒンギャ族をどう扱うかは、スー・チー氏にとって最大の試練となっている。長年迫害を訴えてきたロヒンギャ族のために沈黙を貫く同氏に対し、欧米諸国からは非難の声が上がっている。

ミャンマーは、治安部隊が「テロリスト」に対する正当な作戦を遂行していると主張している。

東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国であるミャンマーに圧力をかけるため、他のASEAN加盟国がインドネシアの後に続く可能性を、バングラデシュのハシナ首相の政治顧問、H・T・イマム氏は指摘する。

マレーシアはすでにミャンマーの大使を呼び出し、暴力への不満を表明した。マレーシアのアマン外相は声明で、「ロヒンギャ族に対する長年にわたる暴力と差別に関する問題は、より大きな国際的な場に持ち込まれるべきだ」と訴えた。

ロヒンギャ族への暴力は大虐殺だと主張するトルコのエルドアン大統領は、スー・チー氏に対し、暴力はイスラム世界にとって大きな懸念であり、外相をバングラデシュに派遣すると伝えた。

大きなロヒンギャ族コミュニティーを抱えるパキスタンも「深い苦悩」を表明している。

限界の難民キャンプ

ロヒンギャ族の武装勢力が治安施設を襲撃し、ミャンマー軍が大規模な反撃に出た昨年10月以降、約21万人のロヒンギャ族がバングラデシュに避難している。

シャムラプール村に到着した避難民と地元住民らによると、計数千人を乗せた数多くのボートが4日と5日に到着したという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国スマホ販売、第1四半期はアップル19%減 20

ビジネス

英インフレ率目標の維持、労働市場の緩みが鍵=ハスケ

ワールド

ガザ病院敷地内から数百人の遺体、国連当局者「恐怖を

ワールド

ウクライナ、海外在住男性への領事サービス停止 徴兵
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 2

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の「爆弾発言」が怖すぎる

  • 3

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバイを襲った大洪水の爪痕

  • 4

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 8

    「なんという爆発...」ウクライナの大規模ドローン攻…

  • 9

    冥王星の地表にある「巨大なハート」...科学者を悩ま…

  • 10

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 6

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 7

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    ダイヤモンドバックスの試合中、自席の前を横切る子…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中