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ミサイル実験

北朝鮮ICBM開発 射程圏入りの米ハワイとアラスカ、危機感高まる

2017年7月10日(月)18時08分

もし、ハワイの住民は真珠湾攻撃という過去のせいで外部からの脅威により敏感になっているとすれば、アラスカ住民の一部はほとんど動揺を示していない。

アンカレッジの北方約80キロに住む元米海軍パイロットで、現在は金物店を経営するドイル・ホームズさんは、同じアラスカ州の住民にこうアドバイスする。「家で寝ていなさい、気に病むことはない」

79歳のホームズさんは共和党の活動家で、この3月にアラスカ州防衛軍を退役した。彼の楽観的態度の根拠は、北朝鮮がどのように米国国土を攻撃しようとしても対応できるとの、米軍の能力に対する確固たる信頼だという。「わが国を狙ってミサイルを発射するというのは自殺行為だ」とホームズさんは言う。

「何も問題はないと思っている。1950年代・60年代には放射性降下物に関する研修も核シェルターに関する訓練も受けた」と彼は言う。冷戦期に想定された旧ソ連による攻撃への対応策を指しているが、結局そのような攻撃は一度も起きなかった。

米連邦議会の上院軍事委員会は先週、米国本土、地域、そして宇宙空間におけるミサイル防衛の強化に向け、ミサイル防衛庁予算85億ドルの計上を提案した。

ある議会スタッフによれば、この予算の一部は、アラスカ州フォート・グリーリー基地に迎撃ミサイル28基を新たに追加して現在の32基から増強するために使われるという。すでに国防総省には、地上配備型中間段階防衛(GMD)の発射基地であるフォート・グリーリーに、40基の迎撃ミサイルを配備する計画があった。

北東アジアにおける政治・安全保障問題の専門家のなかには、北朝鮮を核保有国として認めることを急ぎすぎたと批判する声もある。北朝鮮が本当に、実用的な核弾頭を精密に投射する能力を持っているのか、また北朝鮮が米国による必然的な報復を受けるリスクを冒すのかという点を疑問視しているのだ。

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