最新記事

中韓関係

朴槿恵大統領罷免とTHAAD配備に中国は?

2017年3月13日(月)15時40分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

朴槿恵大統領の弾劾裁判で憲法裁判所が罷免を決定(8月10日、ソウル) Kim Hong-Ji-REUTERS

THAADの韓国配備に賛同したパク・クネ(朴槿恵)大統領が罷免された。中国は大喜びだ。一方、直前にアメリカがTHAAD配備の既成事実を作ったことに中国は激怒。軍事行動を示唆したり、米朝に自制を求めたりもした。中国の韓国次期大統領への思惑は?

パク大統領罷免を歓迎し、次期大統領候補・ムン氏に期待する中国

3月10日、韓国の憲法裁判所はパク・クネ(朴槿恵)大統領の弾劾を妥当とし、罷免を決定した。

裁判が始まるとCCTVは生放送で全ての推移を逐一報道しただけでなく、裁判長の言葉をすべて時々刻々文字化して同時報道した。中国政府の関心の高さがうかがわれる。

なぜなら、これを受けて始まる次期大統領選挙では、ムン・ジェイン(文在寅)氏が有力と見られているからだ。ムン氏は親中・親北朝鮮であるだけでなく、反日でもあり、そして何よりも「韓国のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)配備反対派」だからだ。

中国では、2016年8月に東亜日報がムン氏に関して報じた「THAAD配備が現実のものとなっても、政府は最善を尽くして中国を説得し、関係悪化を防がなければならない」という報道を、最近になって大きく扱っている。ムン氏はそれ以前には「THAAD配備反対」と明言したことさえある。

もともと中国はパン・ギムン(潘基文)元国連事務総長を手なずけ、韓国次期大統領として陰に日向に応援してきたが、今年2月1日、潘基文氏は緊急記者会見を開いて次期大統領への出馬断念を表明した。庶民ポーズを示そうとしたパフォーマンスが逆効果となって人気が暴落しただけでなく、親戚のスキャンダルが追い打ちをかけたのが原因のようだ。となれば、支持率が最も高いムン氏が有力となる。

中国にとって実は、ムン氏以上に条件が揃った大統領候補はない。

そうでなくともCCTVはここのところ毎日のように、韓国内におけるTHAAD配備反対派の抗議運動を大きく取り上げて報道しており、「THAADが配備されれば、韓国はまたもや戦争に巻き込まれ、かえって平和を失うことになる」という韓国の一般庶民の声を拾い上げたりなどしてきた。韓国内でTHAAD反対の機運が高まり、選挙の票を得るために韓国の選挙民の意見に同調した政党が勝利し新たな政権が生まれることに、中国は大きな期待をかけている。

THAADの韓国配備開始に中国激怒――いざとなれば軍事行動

その裏を読むかのように、大統領選が始まる前にパク政権が決定したTHAAD配備政策を、ギリギリ滑り込む形で断行した「米韓の狡猾さ」を、中国は口を極めて攻撃している。

ニュース速報

ビジネス

スタートトゥデイ、採寸用のボディースーツを無料配布

ワールド

中朝企業への米追加制裁、中国外務省「一方的措置に反

ビジネス

報道されている会社への提案は事実=買収報道で日ペイ

ビジネス

ドル112円前半、調整主体で上値重い トルコリラは

MAGAZINE

特集:北朝鮮の歴史

2017-11・28号(11/21発売)

核・ミサイル開発に日本人拉致問題、テロ活動...... 不可解過ぎる「金王朝」を歴史で読み解く

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 3

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 4

    北朝鮮問題、中国の秘策はうまくいくのか――特使派遣…

  • 5

    トランプは金正恩を利用しているだけ、戦争する気は…

  • 6

    アメリカは「安倍トラ」に無関心

  • 7

    日本に定住した日系ブラジル人たちはいま何を思うのか

  • 8

    堤未果:アメリカを貧困大国にしトランプ大統領を誕…

  • 9

    「嫌な気持ちは寝て忘れちゃえ」は逆効果?

  • 10

    北朝鮮、女性への性的暴行や栄養障害が多発 脱北し…

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 3

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 4

    サンフランシスコ「従軍慰安婦像」への大阪市対応は…

  • 5

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

  • 6

    飛び級を許さない日本の悪しき年齢主義

  • 7

    アメリカで黒人の子供たちがたたき込まれる警官への…

  • 8

    子供を叩かないで! 体罰の影響を科学的に研究 

  • 9

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 10

    「人肉は食べ飽きた」と自首した男と、とんでもない…

  • 1

    北朝鮮「亡命兵士」の腸が寄生虫だらけになった理由

  • 2

    北朝鮮の電磁パルス攻撃で「アメリカ国民90%死亡」――専門家が警告

  • 3

    北朝鮮「兵士亡命」が戦争の引き金を引く可能性

  • 4

    北朝鮮「亡命兵士」の命を脅かす寄生虫の恐怖

  • 5

    「クラスで一番の美人は金正恩の性奴隷になった」

  • 6

    人はロボットともセックスしたい──報告書

  • 7

    北朝鮮経済の「心臓」を病んだ金正恩─電力不足で節約…

  • 8

    トランプは宣戦布告もせず北朝鮮を攻撃しかねない

  • 9

    北朝鮮危機「アメリカには安倍晋三が必要だ」

  • 10

    「トランプ歓迎会に元慰安婦」の陰に中国?

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

全く新しい政治塾開講。あなたも、政治しちゃおう。
日本再発見 シーズン2
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 特別編集

最新版 アルツハイマー入門

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年11月
  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月
  • 2017年6月