最新記事

発想術

「今日は赤」と意識するだけ 「カラーバス」で見える世界が変わる

2017年3月31日(金)22時27分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

 白状すると、最初は面白くて延々とやっていましたが、今では毎日なんてやってません。やるときも1回あたり数分とか信号1つ分、200メートルぐらいで終わりにしていることも多いです。それでもやる度に発見の連続です。いつでも何かが新発売されてますし、お店や看板は頻繁に変わっています。カラーバスは、注目する視点をいつもと違うジャンルで絞ると発見の幅が広がることを教えてくれる考具ですね。

 当たり前ですが「色」だけだと飽きます。次は「形状」「位置」「音」......なんでもいいです。「形状」であれば、丸いもの、先の尖とがったデザインのもの......など。「位置」というのは、視線の高さを変えてみることなど。

 面白いと思うのが天井。空、電車の車両、部屋の天井。どんなだったか覚えてないですよね。おばあちゃんの家の天井が木製の板張りで、うねうねした模様が動物やら何やらに見えてきたりした、あの体験を通勤時にやってみるわけです。ニヤニヤすると周りの人に怖がられますからご注意あれ。

 それから「音」。情報とは目で見えるものだけではありません。音だけでなく「臭い」「手触り」など五感をできる限り使いたいものです。目→耳→鼻→手→舌の順で情報を得るために必要となる距離が近くなってしまいますから、通勤時などは舌までは使えないかもしれませんが。

 場所によって応用もできます。デパートでやってみるのも面白いです。

 やり方は全く同じ。色を決めたら最上階から、または地下から順繰りにウロウロしていきます。百貨店と言うくらいなので、商品のジャンルも広いです。女性向け/男性向けフロアもありますから、男女ペアだと緊張せずに回れるかも。あるいは「プレゼントを探しているんだよ」オーラで乗り切りましょう。デパートのいいところは、デザインに優れているものが多く揃えられていること。やはりいいものはいいです。目を肥やすチャンスでもあります。

 郊外型の大きなショッピングモールもお薦め。専門店も多くてバリエーションに富んでいます。自分に縁遠かった売場やお店の中にも入ってみてください。

 本屋さんもいいですね。小説、ビジネス書、マンガと通常はジャンルで選んでしまうところを、色で縛って店内を横断します。1冊ぐらいは「こんなのがあったんだ」と思う掘り出し物が見つかります。すかさずパラパラめくってみてください。あなたの頭の中の情報の幅が格段に拡がった瞬間です。

 こういうことって、実際やってみるのは大変です。まずもって面倒くさい。その面倒くささをゲームにする、あるいは自分自身を説得する材料として、「色」を使っているのですね。

 およそアイデア・企画を考えることにおいては、このような「すり替え」「言い訳」、そして「ほんの少しの強制力」がものすごく力になってくれます。これらのパワーをうまく使ってアイデアを思いつくまでの階段の高さを低くしていくことが大事なのだ、と最近分かりました。心理と真理を突いている気がしているのですが、どうでしょうか?

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

中国主席「中米はパートナーであるべき」、米国務長官

ビジネス

円安、物価上昇通じて賃金に波及するリスクに警戒感=

ビジネス

ユーロ圏銀行融資、3月も低調 家計向けは10年ぶり

ビジネス

英アングロ、BHPの買収提案拒否 「事業価値を過小
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 5

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 8

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 8

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中