最新記事

原発

ウエスチングハウス破産法適用 東芝3000億円弱の損失と試算

2017年3月2日(木)10時34分

 3月1日、東芝がウエスチングハウスに破産法を適用した場合、3000億円弱の損失が生じる可能性があると試算していることが分かった。写真は東芝のロゴマーク。都内で1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

東芝<6502.T>が米国の原子力事業子会社、ウエスチングハウス(WH)について、米国の連邦破産法11条を適用した場合、新たに連結決算に3000億円弱の損失が生じる可能性があると試算していることが1日、分かった。複数の関係筋が明らかにした。

東芝は、破産法の適用により、7000億円超の減損損失の主因となったWHの今後の損失発生リスクを遮断したい考えだ。WHの事業構造の見直しや、ガバナンス改革を進めた上で、事業継続した場合の損失発生リスクとを比較検討し、破産法を申請するかどうかを慎重に見極める。社内には、原発事業に関連した部門から、破産法適用に否定的な声も出ている。

破産法適用を決断した場合、7000億円超の減損損失に加え、3000億円弱の損失が加わることになる。

東芝は2月中旬、WHに外部の専門家を含めた調査チームを派遣し、資産査定を実施。破産法適用による収益への影響を精査している。破産法適用でWHが連結対象から外れることにより、一定の利益計上が見込まれるプラス面がある一方、支払い保証などによるコスト発生などのマイナス面もあり、東芝に対する影響額は差し引き3000億円弱の損失と試算した。

東芝はWHに対して8000億円の債務保証を行っているが、今回の影響額調査では、将来の損害賠償請求などは含まれておらず、実際の損失額はさらに拡大する恐れも残っている。

東芝の2017年3月末の株主資本は、WHの原子力事業による減損損失計上を主因として、マイナス1500億円の債務超過となる。主力のNAND事業の過半数以上の株式売却により、早期の債務超過解消が課題となっているが、売却手続きは4月以降にずれ込むため、東証2部に降格される見通し。

(布施太郎 取材協力:浦中大我、浜田健太郎 編集:田巻一彦)



[東京 1日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中