最新記事

2016米大統領選

ドナルド・トランプが米既成政治に逆転勝利

2016年11月9日(水)19時52分
マシュー・クーパー

 メキシコとの国境に壁を築くという公約は、さすがに議会の承認なしにはできないだろう。だが法律の専門家によれば、不法移民の送還を迅速化し、不法移民の滞在を認めたオバマの大統領令を無効にし、テロ防止のために特定の国々からの移民の流入を禁止することは議会の承認なしでも可能だという。

【参考記事】トランプのメキシコ系判事差別で共和党ドン引き

 懲罰関税を課すと、外国政府に脅しをかけてきたトランプだが、これは議会の承認なしには不可能だ。1年5カ月に及ぶ選挙戦で訴えてきた大幅減税や「軍備増強」もそう。トランプは民主党ばかりか、共和党議員の抵抗に直面することになり、自身の政策を通すことも、最高裁判所の判事にお気に入りの人物を据えることも困難だろう(最高裁の判事には今年死去した保守派のヒーロー、アントニン・スカリア判事のような人物を指名すると公約している)。

ロシアとの連携を強化?

 テロ組織ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)との戦いでは、軍事作戦を短期間に集中的に実施し、シリア問題ではロシアとの連携を強化すると言ってきた。選挙戦中はロシアのウラジーミル・プーチンを褒めたたえ、民主党陣営だけでなく共和党からも激しい批判を浴びた。そのロシア政府は、アメリカの選挙に介入する目的で民主党全国委員会とクリントン陣営のスタッフのサーバーのハッキングを指示したと、アメリカの17の情報機関が断定している。

【参考記事】トランプはプーチンの操り人形?

 トランプは5人の子の父親で、長老教会派の信者である。ニューヨーク市民が大統領になるのは、リチャード・ニクソン(カリフォルニア州からマンハッタンに移り住み、68年の大統領選に勝利)以来だ。

 トランプはマンハッタンのミッドタウンに設置された会場で勝利演説を行ったが、そこからわずか3キロ程のハドソン川近くのコンベンションセンターでは、クリントンの勝利を祝うために集まった支持者たちが予想外の結果に肩を落としていた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

-中国が北京で軍事パレード、ロ朝首脳が出席 過去最

ワールド

米政権の「敵性外国人法」発動は違法、ベネズエラ人送

ビジネス

テスラ、トルコで躍進 8月販売台数2位に

ワールド

米制裁下のロシア北極圏LNG事業、生産能力に問題
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 5
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 8
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 9
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 10
    「人類初のパンデミック」の謎がついに解明...1500年…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 9
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中