最新記事

ライフスタイル

性別と家事分担の根深い刷り込み

2016年9月27日(火)10時50分
クリスティーナ・コーテルッチ

Hinterhaus Productions-Taxi/GETTY IMAGES

<「男らしさ/女らしさ」が家事分担の最大の決め手になっている。同性カップルにまで付きまとうジェンダーの呪縛>

 家庭で本物のガラスの天井が壊れたら、破片の後始末は男女どちらの役目か。最近の調査によれば、ほとんどのアメリカ人は女性の役目と考えている。

 米インディアナ大学博士課程のナターシャ・クワドリンらは1025人を対象に調査を実施。職業、所得、趣味などの異なるさまざまな異性・同性カップルのパターンを例示した上で、各カップルの家事分担を決めさせた。その結果、女性のほうが男性より収入が多い場合でも、回答者は女性により多くの家事(特に掃除、料理、育児など昔ながらの「女の仕事」)を割り振った。75%が買い物、料理、洗濯、掃除は女性の役目と答え、90%近くが車の整備や屋外の雑用は男性の役目だと回答した。

【参考記事】家事をやらない日本の高齢男性を襲う熟年離婚の悲劇

 男女の家事分担のステレオタイプは非常に根強く、同性カップルについても「男らしさ/女らしさ」が家事分担の基準になった。男同士のカップルでもショッピングやラブコメが好きなほうが食事の後片付けや買い物を、バスケットボールやアクション映画が好きなほうは庭の芝刈りをすべき、という具合だ。

「家事分担に関するほとんどの調査では、性別以外の要素で役割分担が決まっているとされている」とクワドリンは言う。「しかし今回の調査結果は、アメリカ人の家事分担の決め手として性別が群を抜いて強力なことを示すものだ」

収入差より性差を重視

 収入の多いパートナーが家計を管理し、収入の少ないほうが料理や洗濯や掃除をすべきという分け方は予想どおり。意外だったのは収入より実際の性別と「男らしさ/女らしさ」がはるかに重視された点だ。異性カップルの場合は女性が洗濯をすべきとの回答が75%、収入の少ない男性が洗濯をすべきという回答は57%だった。育児の中で、女性より男性の役目という回答がわずかに上回った唯一の項目は、しつけだった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

訂正米アップルCEOがナイキ株の保有倍増、再建策を

ビジネス

仮想通貨交換コインベース、予測市場企業を買収 事業

ワールド

ホンジュラス大統領選、トランプ氏支持のアスフラ氏勝

ビジネス

日経平均は反発で寄り付く、幅広い業種で買い優勢
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 2
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 9
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 4
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中