最新記事

裁判

クルーニー夫妻、虐殺でISISを告発。「覚悟はできている」

2016年9月21日(水)16時46分
トゥファエル・アフメド

国連の会議に出席するクルーニー夫妻 Kevin Lamarque-REUTERS

 アマル・クルーニーは月曜、米NBCの朝の情報番組『トゥデイ』で異例のインタビューに応じた。ただしそれは、ハリウッド俳優で夫のジョージ・クルーニーとの私生活を明かすような類の話のためではなかった。人権派弁護士のクルーニーは、クルド系少数派のヤジディ教徒に対する「ジェノサイド(大虐殺)」をめぐって、テロ組織ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)を裁くために法廷に立つ決意をした理由について語った。

【参考記事】IS敗走後に集団墓地と数100人の遺体
【参考記事】民族消滅に近づくイラクの少数派

 その3日前、クルーニーは、ニューヨークの国連本部でイラクのヤジディ教徒ナディア・ムラド・バセ・タハ(23)が国連の親善大使に就任する式典に出席。自らも演台に立ち、ヤジディ教徒の迫害に無策だとして国連を批判した。

性奴隷から脱出

 ISISは異教徒としてヤジディ教徒を迫害し、男や高齢の女性は集団で殺害、若い女性は性奴隷にしてきた。ナディア・ムラドも2014年から数カ月間にわたりISISに拘束され、集団レイプを受けたうえ何度も人身売買されたが、奇跡的に脱出に成功。ISISに拘束されているヤジディ教徒の女性や少女の解放を訴える活動を行ってきた。


アマル・クルーニー(左)とナディア・ムラド Channel 4 News/YOUTUBE

 クルーニーは月曜に再度、ナディア・ムラドと共にNBCに出演。ISISの性奴隷として拘束されている数千人に上るヤジディ教徒が置かれた惨状を語った。

 さらには、ヤジディ教徒側の弁護人として、残虐な犯罪行為の加害者であるISISに法の裁きを受けさせるつもりだと話した。過激なテロ組織に真正面から挑むという決断は、決して軽々しいものではなかったという。

「今ナディアがやっていることに比べれば、だれも自分には勇気があるなんて言えないと思う。冗談でも何でもなく、相手はあのISISよ。彼らは既に、ナディアに対して非常に明白な脅迫を送りつけてきた。どんな手を使っても、お前をここに連れ戻してやるってね」とクルーニーは語った。

【動画】ISISに蹂躙された魂がさまよう町シンジャール

 家族の理解を得られたかと問われると、彼女と夫のジョージ・クルーニーは、これほど注目度の高い訴訟に関わるからには、相応のリスクがあることも承知していたと答えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ドル一時153円まで4円超下落、介入観測広がる 日

ワールド

再送米、民間人保護計画ないラファ侵攻支持できず 国

ビジネス

米財務省、中長期債の四半期入札規模を当面据え置き

ビジネス

FRB、バランスシート縮小ペース減速へ 国債月間最
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉起動

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    ポーランド政府の呼び出しをロシア大使が無視、ミサ…

  • 6

    米中逆転は遠のいた?──2021年にアメリカの76%に達し…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 9

    パレスチナ支持の学生運動を激化させた2つの要因

  • 10

    大卒でない人にはチャンスも与えられない...そんなア…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」…

  • 9

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中