最新記事

ドーピング

妖精シャラポワは帰ってくる

2016年6月13日(月)19時03分
テディ・カトラー

David Gray-REUTERS

<禁止薬物使用で2年間の出場停止処分を受けたシャラポワは2年経ってもまだ31歳。他の選手の場合と違ってナイキがスポンサー契約を切らずにいるのも活躍に期待してのことだ>

 ドーピング違反が見つかった「ロシアの妖精」、マリア・シャラポワ。先週、国際テニス連盟(ITF)が2年間の出場停止処分を下したことで、選手生命の危機に直面している。もうコートで姿を見ることはできず、グランドスラム(4大大会)の成績も通算5勝で終わってしまうのか。

【参考記事】出場停止勧告を受けたロシア陸上界の果てしない腐敗

 シャラポワが使用していた禁止薬物のメルドニウムは主に心臓病のために使われる薬で、世界反ドーピング機関(WADA)が今年1月1日から新たに禁止薬物に指定していた。ITFが発表した調査結果から、シャラポワ側がWADAの禁止薬物リストにあきれるほど無頓着であったことや、どのサプリメントを服用しているかをチーム関係者に伝えていなかった彼女自身の対応にも問題があったことが浮き彫りとなった。

 シャラポワの医師だったアナトリー・スカルニーが、初めてシャラポワにメルドニウムを含んだミルドロネートと呼ばれる薬の服用を薦めたのは2005年。それ以降2010年3月までの間に、スカルニーの処方でシャラポワは30種類の薬を摂取していた。

 シャラポワのキャリアは終わったように、一見見える。2年間の出場停止処分から復帰して、女子テニス協会が主催するツアーで他の選手と互角に戦うのはもはや不可能だという意見や、彼女は引退すべきだという声も聞こえる。

 ただし、それはシャラポワの年齢を考慮しなければの話。なぜなら処分が解除される2017年1月26日時点で、シャラポワはまだ31歳だ。

選手寿命は延びている

 ドイツのシュテフィ・グラフによるグランドスラム通算22勝という記録を確実に破るとみられるアメリカのセリーナ・ウィリアムズは、現在34歳。シャラポワが復帰する頃には36歳だ。

 一方の若い世代には、安定して実力を発揮できる選手がほとんど出てきていない。

 そう考えると、31歳になったシャラポワが復帰するのは決して無謀ではなく、勝つチャンスも十分にある。

【参考記事】アームストロング、ドーピング闘争断念の真相

 スポーツ医学の進歩によって、過去と比べてプロスポーツの選手寿命が格段に伸びていることも考慮すべきだ。深刻な怪我を抱えていなければ、30歳という年齢はもはや引退に向けたキャリアの転換点とは見なされない。

 米スポーツ用品大手のナイキの対応も、シャラポワ復帰の可能性を裏付けるものだ。ナイキは2年間の出場停止処分が科されたにも関わらず、騒動発覚後に一次凍結していたスポンサー契約を再開すると8日に発表した。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

インド26年度予算案、財政健全化の鈍化示す フィッ

ビジネス

ウォーシュ氏のFRB資産圧縮論、利下げ志向と両立せ

ワールド

米特使、イスラエルでネタニヤフ首相と会談へ=イスラ

ワールド

シンガポール、宇宙機関を設立へ 世界的な投資急増に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 7
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 8
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 9
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 10
    エプスタイン文書追加公開...ラトニック商務長官、ケ…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中