シュリンクする世界の外為市場、取引高も人員も減少進む
国際決済銀行(BIS)の1995年の調査によると、20年前の1日の平均取引高は1兆2000億ドルで、初めて1兆ドルの節目を超えた。
しかし、為替指標の不正操作スキャンダルが2013年に発覚し、複数の銀行が数十億ドル規模の罰金を科されたほか、数十人から数百人の規模で世界のトレーダーが職務停止や解雇に追い込まれ、業界全体に長きにわたって暗い影を落とした。
グローバル金融危機をきっかけに実施されたさらに多くの規制変更によっても、為替の取引リスクを積極的に取ろうとする能力が抑えられた。
リスク管理、調査、システム技術への支出が増大する中で、銀行は資本コストや事業コストの増大にも対処しなければならず、もはや自己勘定で為替のトレーディングを行うことはできなくなった。
アナリストの一部は、外国為替市場の相場変動率が比較的に低めだったことが、この数カ月間の取引高減少に一定の役割を果たしたとみている。相場の方向性が定まらない中で為替のスポット取引高は減少し、為替オプションなどデリバティブ商品の需要も落ち込んだ。
チャプデレーン(ニューヨーク)の為替部門のマネジングディレクター、ダグラス・ボースウィック氏は「ゼロ金利と非常にハト派的なグローバル環境ではボラティリティは低下する。ボラティリティが抑えられている時に、取引高は急減する」と話す。
トレーダーたちは不安定な金融市場や中国の景気減速によって資産価格、インフレ率、成長、中銀の政策が今年どの方向に向かうのかについて大幅な再考を迫られることから、一定程度のボラティリティ上昇を期待している。
しかし、市場の混乱が為替の取引高増加につながるかどうかは疑わしい。
