最新記事

航空機事故

【写真特集】マレーシア機撃墜現場で証拠隠滅を図った「悪の所業」

ロシア製ミサイルによる撃墜と断定され、今後は国際合同チームによる刑事捜査の段階へ

2015年10月14日(水)17時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

明かされた真実 13日に発表されたオランダ安全委員会の最終報告ではロシア製ミサイルによる撃墜と断定された Michael Kooren-REUTERS

 昨年7月にウクライナ東部で起こったマレーシア航空機の撃墜事件で、墜落原因の調査を主導してきたオランダ安全委員会が今週、最終報告を発表した。

 調査では、親ロシア派が支配する地域から発射されたロシア製の地対空ミサイル「BUK(ブーク)」によって撃墜されたと結論付けた。回収された機体の再現によって、ミサイルが航空機の先頭部分、操縦室の左上約1メートル程度の至近距離で爆発し、破壊力を強化するために弾頭に仕込まれた大量の金属片が機体を襲ったことがわかった。

 さらに英紙ガーディアンによると、操縦室にいた3人のパイロットは最初のミサイルの爆発で即死したと見られ、遺体からは爆発時に飛散した多くの金属片が見つかった。このうち2つの金属片が「BUK」に特徴的な「蝶ネクタイ」の形をしていたことが、ミサイル特定の決め手の一つとなった。

 また機長の遺体をオランダの航空専門家が検分した際、「遺体に混入した物体を除去する作業がすでに実施されていた」こともわかった。撃墜現場で、証拠隠滅が図られていた可能性を示している。

 今回の調査では、ミサイルを発射したのが誰かを特定することはしなかった。今後は刑事事件として、オランダの他、ウクライナ、マレーシアなどが参加する国際合同チームの捜査にゆだねられることになる。

mh17report-02.jpg

墜落現場では機長の遺体から証拠となる金属片が除去されていたことがわかった Maxim Zmeyev-REUTERS


mh17report-03.jpg

再現された操縦室の様子。ミサイルは操縦室から約1メートルの近距離で爆発したと見られている Michael Kooren-REUTERS

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:4月CPI、利下げに向け物価情勢好転待つ

ワールド

米、ウクライナ防衛事業基金に20億ドル ロシア領内

ワールド

米、今秋に中国製「つながる車」規制案 商務長官「安

ワールド

ロ中など米選挙介入の動き活発化、情報機関が見解 A
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:インドのヒント
特集:インドのヒント
2024年5月21日号(5/14発売)

矛盾だらけの人口超大国インド。読み解くカギはモディ首相の言葉にあり

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両を一度に焼き尽くす動画をウクライナ軍が投稿

  • 2

    プーチン5期目はデフォルト前夜?......ロシアの歴史も「韻」を踏む

  • 3

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダブルの「大合唱」

  • 4

    マーク・ザッカーバーグ氏インタビュー「なぜAIを無…

  • 5

    それでもインドは中国に勝てない...国内企業の投資意…

  • 6

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    羽田空港衝突事故で「日航の奇跡」を可能にした、奇…

  • 9

    総額100万円ほどの負担増...国民年金の納付「5年延長…

  • 10

    奇跡の成長に取り残された、韓国「貧困高齢者」の苦悩

  • 1

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 2

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する悲劇の動画...ロシア軍内で高まる「ショットガン寄越せ」の声

  • 3

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋戦争の敗北」を招いた日本社会の大きな弱点とは?

  • 4

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 5

    原因は「若者の困窮」ではない? 急速に進む韓国少…

  • 6

    北米で素数ゼミが1803年以来の同時大発生、騒音もダ…

  • 7

    「恋人に会いたい」歌姫テイラー・スウィフト...不必…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ウクライナ防空の切り札「機関銃ドローン」、米追加…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 4

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 5

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中