アングル:4月CPI、利下げに向け物価情勢好転待つFRBに朗報
利下げに動く前に物価情勢が再び好転することを待ち望んでいる米連邦準備理事会(FRB)の政策担当者にとって、15日に得られたデータはそれなりに勇気づけられる内容だった。米首都ワシントンで2022年撮影(2024年 ロイター/Sarah Silbiger)
Ann Saphir
[15日 ロイター] - 利下げに動く前に物価情勢が再び好転することを待ち望んでいる米連邦準備理事会(FRB)の政策担当者にとって、15日に得られたデータはそれなりに勇気づけられる内容だった。4月の消費者物価指数(CPI)が幾分鈍化したからだ。
CPIの前年比上昇率は3.4%、前月比上昇率は0.3%で、前年比ではFRBが目標とする2%にはなお程遠い。
しかし3月まで3カ月連続で予想を上回る伸びとなっていた流れには終止符が打たれた。こうした3月までの展開により、物価圧力は着実に和らいでいるというFRBの自信は揺らぎ、高金利をより長く続ける必要があると警告する政策担当者が増えてきたところだった。
複数のアナリストによると、4月CPIで特に心強い要素となったのは、住居費上昇率の若干の減速だ。政策担当者が長らく期待していた中でこれまでなかなか減速が実現しなかったが、家賃の伸びは前月比0.35%と2021年以降で最低にとどまった。
変動の大きいエネルギーと食品を除くコアCPIの前年比上昇率も3.6%と3年ぶりの低い伸びだった。
今回のCPIを精査したアナリストの見立てでは、FRBが重視している個人消費支出(PCE)物価指数の4月上昇率も鈍化する公算が大きい。
JPモルガンのチーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏は、4月PCE物価指数の前年比上昇率は3月の2.8%から2.7%に減速すると予想。物価指標は「FRBの目標よりは高いとはいえ、過去数カ月の加速を経て、少なくとも再び正しい方向には進んでいる」と指摘した。
このCPIや、前月比横ばいだった4月の小売売上高を踏まえ、金利先物市場ではFRBが9月と12月に利下げするとの観測が強固になり、現在5.25─5.5%の政策金利が年末に4.75─5%まで下がると見込んでいる。
一方で市場に織り込まれた7月の利下げ確率は25%強で、早期利下げの可能性は低いとみなされていることも分かる。
FRBのパウエル議長は14日、物価上昇率を目標の2%まで確実に抑え込むために利下げを先送りする必要があるかもしれないと発言したが、同時に現段階で利上げはあり得ないとの考えも示した。
グレンミードの投資戦略・調査責任者ジェーソン・プライス氏は「利下げが完全になくなるとの懸念があったとすれば、それはある程度解消された。現実味を持たせられなかったのは、FRBを直ちに利下げを開始する軌道に乗せることだ。(利下げへの)確信を持つためには、まだ幾つかの報告が必要になる」と述べた。