最新記事
スキャンダル

小児性愛者エプスタイン、23歳の女性は「自分には年を取り過ぎ」と言っていた── 大陪審の記録が20年ぶりに公開

Jeffrey Epstein called 23-year-old "too old" for massage: New report

2024年7月2日(火)15時43分
アデオラ・アデオサン
エプスタインの写真を掲げて抗議する人々

性的目的の少女の人身売買容疑で裁判にかけられた大富豪エプスタインの写真を掲げて抗議する人々(ニューヨーク) REUTERS/Shannon Stapleton

<甘い量刑や拘置所での不審死、有力者との関係など、疑惑に包まれた大富豪エプスタインの悪行について新事実が明かされる>

新たに公開された大陪審の文書から、2019年に性的目的の人身売買の罪で起訴され、公判前に拘置所で自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン元被告がかつて23歳の女性について、自分のマッサージを担当するには「年を取りすぎている」と却下していたことが判明した。

【動画】トランプやクリントンも友人だったエプスタインのすべて

2006年に行われたエプスタインの性的虐待疑惑に関する調査について、長年非公開とされていた大陪審の記録文書を、フロリダ州パームビーチ郡の当局者が7月1日に公開した。パームビーチ郡当局とフロリダ州の議員たちの長年の働きかけによって新たに公開された文書を基に、捜査官らが報告書をまとめた。

文書公開を命じたフロリダ州のルイ・デルガド判事(巡回裁判所)によれば、問題の文書には少女も獲物にしていたエプスタインが「さらなる獲物を見つけるために子どもを利用」していた。一部の子どもたちは、自分たちが接触する可能性のある「著名な人々」の「悪い評判」を認識していたという。

パームビーチ郡巡回裁判所の書記官兼会計監査官のジョセフ・アブルッツォはX(旧ツイッター)への投稿で記録文書の公開を発表。目的は「パームビーチ郡の住民およびエプスタイン事件の成り行きを注視してきた国際社会に対して透明性を確保する」ことだと述べた。

本誌はパームビーチ郡書記官事務所にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

法の修正により記録文書の公開が可能に

大陪審の文書については、2019年にパームビーチ・ポスト紙が情報公開を求める動議を提出。当初はフロリダ州法セクション905.27(大陪審での証言内容は原則非公開と定めた法律)を理由に却下されたが、アブルッツォの事務所がこの州法の修正を推し進めた。

デルガドの声明によれば、フロリダ州のロン・デサンティス知事が2024年2月にこの修正法案「HB117」に署名。「正義の促進」の定義に「公共の利益の促進」が盛り込まれるよう大幅な修正が行われた。

これらの文書の公開は、現在も続いているエプスタイン事件の捜査と司法制度の検証において重要な節目となる。20年近くにわたって封印されてきたこれらの記録は、物議を醸したエプスタインの2008年の司法取引につながった捜査の初期段階の状況について、新たな情報を提供するものだ。

被告に対して甘すぎると広く批判されたこの司法取引により、エプスタインは性的搾取目的の人身取引罪での有罪判決を免れ、18歳未満の未成年者を売春に勧誘・斡旋した罪での有罪を認めた。

その結果、エプスタインは禁錮13カ月という比較的軽い量刑で済み、しかも仕事のために刑務所から一定時間の外出を許された。アレクサンダー・アコスタ地方検事(当時)が交渉して実現したこの司法取引には、その後何年にもわたって厳しい目が向けられた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米失業保険継続受給件数、10月18日週に8月以来の

ワールド

中国過剰生産、解決策なければEU市場を保護=独財務

ビジネス

MSとエヌビディアが戦略提携、アンソロピックに大規

ビジネス

英中銀ピル氏、QEの国債保有「非常に低い水準」まで
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中