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カスパロフ「プーチンはISISより危険だ」

2015年6月29日(月)19時42分
ロバート・チャルマーズ

──西側はプーチンを甘く見過ぎたのか

「大幅に。10年前には、アメリカのブッシュ前大統領やイギリスのブレア元首相と近づいた。自らの地位を守るために体面を取り繕わなければならなかったからだ。いま彼が欲しいのは、包囲されたロシアを演出することだ。彼にはもう友達はいらない。必要なのは敵だけだ」


チェスの世界チャンピオンというと、精神に破綻を来しているという印象をつい持ってしまう。精神病質で反ユダヤ主義者のボビー・フィッシャー、異様な数の婦人靴に囲まれ風呂で息絶えていたポール・モーフィーなどチェスの歴史には変人が多いからだ。

だがカスパロフにおかしなところがあるとすれば、怖いぐらい集中力が強いことだろう。だが人によっては、彼のプーチンに対する激しい敵意を偏執狂の症状だという。


──西側は何をすべきか。

「まず(ロシアと対立する)ウクライナを武装させることだ」

──ロシアが(ウクライナ領だった)クリミア半島を併合したのは、本当にプーチン帝国主義の第一歩だと思うか。今までのロシアはEU(欧州連合)拡大で「領土」を奪われる一方だった。

「ヒトラーだって、領土を奪われたことはある」

──もしロシアが(旧ソ連から独立した)ラトビアかエストニアに侵攻したらNATO(北大西洋条約機構)は動くと思うか。

「(ラトビア、エストニアはNATO加盟国なので)他に選択肢はないだろう。もしもプーチンがNATO領内で小さな騒乱でも起こせば、NATOは死んだも同然だ。それがプーチンの狙いでもある」

──大統領になりたい気持ちはまだあるか

「モスクワに戻って立候補するには、多くのことが変わっていなければ無理だ。2007年には拘留されても3日がせいぜいだった。今は5年だ」

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