最新記事

ノルウェー

オスロ五輪招致撤退はIOCの接待要求のせい

聞きしに勝るIOCの「たかり体質」にあきれ、冬季五輪から逃げ出したオスロ

2014年10月10日(金)13時02分
ベン・マティスリリー

高級接待は常識 IOCのバッハ会長は五輪改革を進めているが Aly Song-Reuters

 22年冬季五輪の招致レースから、ノルウェーのオスロが撤退した。理由は、大会後に無用の長物になる競技場に巨費を投じるのがばからしくなったから。さらに、IOC(国際オリンピック委員会)が、いかさま貴族の腐敗組織と分かったからだ。

 ノルウェー国民が半ばあきれ、半ば憤慨したのが、五輪開催中に必要とされた豪華接待。その内容を地元ベルデンスガング紙の記事から抜粋すると──。

■IOC委員は開会式前に国王と面会。式後のパーティー費用はノルウェー王室かノルウェーの組織委員会が持つ。

■公道に委員専用車線を設ける。

■各委員のホテルの部屋に組織委員長とホテル支配人の挨拶状と、季節の果物と菓子を届ける(2月のオスロで季節の果物を見つけるのは至難の業だが)。

■ホテルのバーは営業時間を夜遅くまで延長。ミニバーにはコカ・コーラ社の飲料を置く。

■空港でIOC会長の歓迎レセプションを行う。空港には委員専用の出入り口を設ける。

■開閉会式には各種アルコールを準備し、競技期間中は会場のラウンジにワインとビールを。

■委員のホテル出迎えは笑顔で。

■会議室の温度は常時20度に。

■会場のラウンジに温かい食事を用意し、メニューは定期的に入れ替える。

 オスロの撤退に対してIOCはこんな声明を発表した。「冬季競技の熱心なファンであるノルウェー国民にも、自国で記録を達成する機会を逃すノルウェー選手にも、残念な決定だ」

 悲しい。実に悲しい。

© 2014, Slate

[2014年10月14日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7閉幕で石破首相が会見、ガソリン急騰対応指示 韓

ワールド

豪政府、生産的で強靭な経済構築に注力=財務相

ワールド

デンマーク、グリーンランド投資強化と外交権限拡大付

ビジネス

ペメックス未払いで「危機」、石油サービス業界が操業
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 6
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 7
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 10
    コメ高騰の犯人はJAや買い占めではなく...日本に根…
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中