最新記事

香港

中国の「ニセ民主選挙」に香港の怒り

17年の香港行政長官選挙では親中派の候補が並び、民主派が排除されることがほぼ確実に

2014年9月2日(火)18時45分
コナー・シーツ

本物の選挙を! 中国共産党の決定に対し、民主派は続々と抗議に集まった(先月31日) Bobby Yip-Reuters

 香港に本物の民主選挙は認めない、というのが中国政府の姿勢らしい。

 中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会は先月31日、17年に行われる香港特別行政区の行政長官選挙について発表した。これまでの間接選挙に代わり、市民による直接選挙が導入される一方で、立候補するには「指名委員会」の過半数の推薦を得る必要があるという。

 これに対して民主派は、そうした条件では親中派しか立候補できず、反体制派が排除されると批判。同日夜から、特別行政府庁舎前などで抗議デモを起こした。民主派団体「オキュパイ・セントラル(中環占拠)」は民主選挙の要求が認められなければ、金融街・中環地区を群衆で埋める抗議行動を実施すると宣言した。

「一国二制度」の原則に反する

 翌9月1日には、全人代常務委員会の李飛副秘書長が香港の各界有力者を前に、選挙制度について説明を行った。民主化を支持する立法会(議会)議員は「約束違反」「恥を知れ」と書かれたプラカードを掲げ、野次を飛ばすなどして李の演説を妨害。警官によって退場させられた議員もいた。

 説明会場となったアジアワールド・エキスポ(亜州国際博覧館)の外にはデモ隊が陣取り、「本物の選挙を!」というプラカードを掲示。ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、警察に唐辛子スプレーを浴びせられたデモ参加者もいたという。

 97年にイギリスから返還されて以来、中国は「一国二制度」に基づき香港に高度な自治を認めてきた。香港民主化を求める人々は、今回発表された選挙制度はその方針に反すると指摘。しかし共産党側は、17年の選挙はかつてないほど自由で民主的なものになると主張している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

大企業製造業・業況判断DIは+15=12月日銀短観

ビジネス

MDV、日本生命によるTOB「検討中」 決定事項は

ワールド

世界各地でユダヤ教行事の警備強化、豪ビーチ銃撃受け

ワールド

チリ大統領選で右派カスト氏勝利、不法移民追放など掲
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中