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韓国の教科書から進化論が消えた?

政府は進化論の記述を教科書から削除することを認めない決定を下したが、韓国に広がる「天地創造説」信仰は止まらない

2012年10月22日(月)15時12分
リジー・トメイ

広がる論争 アメリカの教育界では以前から天地創造説をめぐる論争が続いているが、近年になって韓国を始め世界へ拡大(カリフォルニア州の天地創造博物館) Sandy Huffaker/Getty Images

 すべては神が創造した、という天地創造説を学校で教える。科学を真っ向から否定する──。そんな教育の是非をめぐる論争がアメリカから韓国に飛び火していたが、韓国政府は先日、進化論の記述を教科書から削除すべく活動している団体の要求をはねつけた。

 今年6月には、民間の「教科書改訂を求める会」の働き掛けで出版社数社が、一部の種に関する進化論の記述を高校教科書から削除したことが判明。国内外の科学者から猛反発を受けた政府は諮問機関を設置し、調査を行っていた。その結論が、削除した部分を元に戻すか書き直すべきだというものだった。

キリスト教福音派の台頭

 この教科書論争は、始祖鳥の進化に関する重箱の隅をつつくような内容に終始している。だがこれは、韓国全体の世相を反映するものだと米ワイアード誌は伝えている。「この数十年でキリスト教福音派が台頭してきた韓国では、天地創造説が広がりつつある」

 アメリカでは半数近くが信じているとされる天地創造説だが、世界的にもその割合が増えている。23カ国を対象とした昨年の世論調査の回答は、天地創造説を信じる人は28%、進化論を信じる人は41%だった。

GlobalPost.com特約

[2012年9月26日号掲載]

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