最新記事

ロンドン

五輪テロ対策で民家にミサイル配備

ロンドンの住宅の屋上に地対空ミサイルを設置することを英国防省が計画。住民の異議申し立ても却下された

2012年7月11日(水)14時19分
プリヤンカ・ボガニ

戦時下なみ 戦闘機やヘリによる攻撃を想定して開発されたHVM(高速ミサイルシステム)も配備される Stefan Wermuth-Reuters

 オリンピック期間中、民家の屋根に地対空ミサイルを配備しても問題なし──ロンドンの裁判所がゴーサインを出した。

 ロンドン東部レイトンストーン地区に建つ17階建てのフレッド・ウィッグ・タワーに暮らす住民たちの訴えは10日に棄却された。英国防省からテロ対策の一環として屋上にミサイルを配備するとの通告を受けた住民は、中止を求めて訴訟を起こしていた。

 住民が恐れるのは、ミサイルが設置されることでこのビルがテロリストの標的になること。だが国防省は、ミサイル設置は「合法であり適切だ」と主張していた。

 ロンドン市内ではオリンピック会場の防衛目的で、このビルを含めて6カ所にミサイルが配備される予定だ。短距離防空ミサイル「レイピア」などが設置されるという。

「国家の最高レベルで」決定された

「平時のイギリスでは前例がないほどの軍事基地やミサイル施設が配備される。だがら裁判を起こすことになった」と、住民側の弁護士マーク・ウィラーズは公判で述べた。「ビルの屋上にミサイルを設置すれば、テロの標的になるリスクが高まると思うのは当然だ」

 欧州人権条約では、自宅での私生活を尊重される権利が定められている。国防相はこうした条項に違反しているとウィラーズは訴えた。対する国防省側の弁護士デービッド・フォースディックは、ミサイルの設置場所は「厳密な調査の結果、国家の最高レベルで」決定されたものだと主張。首相と副首相、内相、国防相の承認を得た決定事項だと述べた。

 裁判所は、住民にはこの決定に異議を申し立てる権利はないとの判決を下した。「この問題について、国防省による地域や住民とのやりとりには何の問題点も認められないと判断した」と裁判官は語った。さらに、国防省には住民に事前に説明する義務はなく、説明しなかったことが「明らかな不公正」には当たらないと付け加えた。

From GlobalPost.com

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日産、追浜と湘南の2工場閉鎖で調整 海外はメキシコ

ワールド

トランプ減税法案、下院予算委で否決 共和党一部議員

ワールド

米国債、ムーディーズが最上位から格下げ ホワイトハ

ワールド

アングル:トランプ米大統領のAI推進、低所得者層へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」する映像が拡散
  • 4
    大手ブランドが私たちを「プラスチック中毒」にした…
  • 5
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星…
  • 6
    MEGUMIが私財を投じて国際イベントを主催した訳...「…
  • 7
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習…
  • 8
    配達先の玄関で排泄、女ドライバーがクビに...炎上・…
  • 9
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 10
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 4
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 5
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 6
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 7
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 8
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 9
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 6
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中