最新記事

日韓関係

実は関心低い? 韓国の慰安婦問題

ソウルの日本大使館前に設置された少女の座像は日本の謝罪を求めているが

2012年1月26日(木)13時57分
知久敏之(本誌記者)

衣替え 市民の気遣いで帽子や毛布にくるまれた少女の銅像 Lee Jae Won-Reuters

 ソウルの日本大使館を、道路を挟んだ反対側の歩道のベンチからじっと見詰める少女──。

 韓国の伝統衣装「韓服」に身を包んだこの少女の銅像が、日本と韓国の関係にさざ波を生んでいる。

 銅像は、元従軍慰安婦を支援するグループ「韓国挺身隊問題対策協議会」が先週設置した。日本の謝罪を求めて毎週水曜日に大使館前で実施している集会が、1000回を迎えたことを記念したものだ。

 韓国では8月に憲法裁判所が「慰安婦問題の解決のために韓国政府が具体的措置を講じないのは違憲」という判断を示し、世論の関心が高まっている。日本政府は、「在外公館の威厳を侵害するウィーン条約に抵触する」と像設置に反対していたが、韓国政府が黙認した形だ。

 ただ韓国の教育現場などでは、慰安婦問題は徐々に風化しつつある。東亜日報が先月ソウルの小中学生200人を対象に実施した調査では、7割以上の152人がこの問題を「知らない」と回答。慰安婦とは何かという質問には「日本の富豪宅で働く家政婦」との回答もあった。

 厳しい学歴社会で知られる韓国では、子供たちが過去を振り返る余裕はないのかもしれない。

[2011年12月28日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中