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両性具有モデル、リア・Tのランウエー革命

2011年7月15日(金)15時13分
マック・マーゴリス(リオデジャネイロ)

「母には7人の姉妹がいたが、全員が超保守的でとても真面目なカトリック教徒だった。だから最初は誰も私の話を聞きたがらなかった」とリアは言う。「でも私をつまはじきにする人はいなかった」。リオデジャネイロまでリアのモデル姿を見に来てくれた親戚もいたという。

 意外にも一番冷静に対処したのは父親のトニーニョだった。当初ブラジルのメディアは、リアと父親の間の確執を書き立てた。トニーニョが今年に入り、「人生を立て直すため」として北部のチームの監督を突然辞任したことも噂を大きくした。

 だがトニーニョは公の席でリアの幸せを祈っていると語り、騒ぎを軽く受け流している。「他人に侮辱されることはあるが、私の母も(自分の現役時代に)さんざん罵られた」と、トニーニョは最近ブラジルのスポーツ誌に語った。「わが家はこれを乗り越えるさ」

 リア自身は既に乗り越えているようだ。「自己改造」の最終段階である性転換手術に向けて、ホルモン注射を打っていると語る口調も落ち着いていた。手術を受けたらもう元には戻れない。だがリアは、少なくとも心配している様子は見せない。

「性転換者は売春婦だとは限らないし、社会の一員になるためにアイデンティティーを隠す必要もない、というメッセージを送りたい」とリアは言う。「私が性転換者と言われない日が、私の仕事が終わる日」

 いや、当分はファッション業界がリアを手放さないだろう。

[2011年6月29日号掲載]

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