最新記事
SDGsパートナー2025

廃プラスチックや未利用材が高級家具に...前田技研による廃材を用いた3Dプリンティングが世界を変える

2025年12月22日(月)10時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
孚美(フウビ)ブランドのインテリア

3Dプリントで作成された孚美(フウビ)ブランドのインテリア

<3Dプリンティング技術が、環境問題と製造の課題を一挙に解決し、循環型社会の実現に貢献している>

日本企業のたとえ小さな取り組みであっても、メディアが広く伝えていけば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。そのような発信の場をつくることをミッションに、ニューズウィーク日本版が立ち上げた「SDGsアワード」は今年、3年目を迎えました。

私たちは今年も、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇

プラスチック廃棄物や森林伐採に伴う未利用材の処理問題は、深刻な環境問題の1つだ。大量生産・大量消費の構造を見直す動きが広がるなか、企業にも「つくる責任」「つかう責任」が問われている。

こうした課題に対し、素材の選定から廃棄物の再資源化までを見直す取り組みを行っている企業も少なくない。株式会社前田技研もその1つだ。

大型インテリアも迅速に製造可能に

愛知県岡崎市に本社を置く前田技研は1968年に創業し、鋳造用の金型製作を中心に技術を磨いてきた老舗企業だ。2008年には初めて5軸加工機を導入して、2016年には、DMG森精機製の大型5軸加工機を導入。また、3Dプリンターは、2018年に初めて導入し、2020年には大型3Dプリンター「EXF-12」を導入するなど、さまざまな技術を柔軟に取り入れてきた。

同社が3Dプリンターを導入した背景には、本業の金属加工で行う試作品を最短リードタイムで製作するために、3Dプリンターを活用出来ないかという考えがあった。しかし、異なる材料、製法の違いなどの理由から、顧客の求める要求に3Dプリンター製作品では不足していた。そこで視点を転換し、環境問題が全世界的に焦点となっている中、前田技研としても新たな取組で貢献していこうと考えた。

折しも、環境配慮型の樹脂材料が市場に登場し始めた時期であった。これを契機に同社はサステナブル素材を用いた造形を試行。3Dプリンターが持つ唯一無二の質感とデザインが特徴の表現力に魅了され、「インテリアブランド 孚美(フウビ)」を2023年に立ち上げた。2024年には、カタログ製品として販売開始をして、ホテルの共有スペースや百貨店での販売も実現し、サステナブルな家具や空間製品の製造に着手するなど挑戦を続けている。

製品製作に用いる材料は、様々な環境配慮型の樹脂で、押出成形で使用されるペレット樹脂。3Dプリンターで一般的に使用されるフィラメントに比べて安価で種類も多い。「EXF-12」は造形時間も早く、スツールは約4時間、机の脚も8時間で造形可能だ。サイズは最大1.7メートル×1.3メートル×1.0メートルに対応し、大型製品でも迅速な納品が可能。造形後は自社工場での機械加工にも対応し、一貫した体制での製造を実現している。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

原油先物は上昇、週末に米がベネズエラ沖で石油タンカ

ワールド

豪首相支持率が再選以来最低、銃乱射事件受け批判高ま

ビジネス

ファーストリテ、初任給37万円に12%引き上げ 優

ビジネス

対中直接投資、1─11月は前年比7.5%減 11月
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 6
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中