最新記事
日本企業

レトロな量り売りの復活...日本初の「ごみゼロ」スーパー「斗々屋」の徹底した脱包装戦略とは?

De-Packaging for Zero Waste

2025年4月15日(火)16時49分
岩井光子(ライター)
日本発のゼロ・ウェイストスーパー「斗々屋」の量り売りレジ

ワンタッチで会計用のラベルが出てくる量り売りのシステムを整備した COURTESY OF TOTOYA

<便利な小分けパックに慣れた日本で、レトロで新しい量り売りを蘇らせた京都・斗々屋の戦略とは?>

斗々屋は日本初のゼロ・ウェイスト(ごみの出ない)スーパーをうたって2021年7月、京都にオープン。

【動画】客が持参した容器で量り売り...日本初の「ごみゼロ」スーパー「斗々屋」での買い物の様子

有機野菜や果物は木箱に、肉や魚、豆腐などはステンレストレーに、乾物や調味料はガラス容器に充塡され、多くの商品が量り売り対応だ。包装サービスはなく、客は容器を持参するか、店の預かり金制の容器を借りて持ち帰る。


創業者の梅田温子は料理人出身。フランスに住んでいた05年、有機食材を日本に輸出する会社を始めた。環境に配慮した生産物が、小分けされ、ごみになるパッケージを施して送られることに矛盾を感じ、BtoBで脱包装を模索し始めたことが斗々屋の出発点だ。

梅田の挑戦に共感し、運営に加わったのがドイツに生まれ、イギリスで育ったノイハウス萌菜。日本に移住してからプラスチックごみの多さに驚き、脱プラ生活を呼びかける活動をしていた。

2人はごみの出ない買い物に共感する生産者や消費者のコミュニティーを育てながら、都内で量り売り店の実証実験を重ねた。商品点数を徐々に増やし、通常のスーパーに引けを取らない700点をそろえたのが京都の斗々屋だ。

レトロな量り売りを現代によみがえらせるカギは、消費者の意識を変え、買い物の行動を変えることにある。

京都店では利便性も追求した。量り売りに付きまとう「面倒」なイメージを刷新するため、対面注文の手間を省き、ほぼセルフで商品を選べるシステムを導入。開発に協力したのは、量り売りのソリューションを提供する寺岡精工だ。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 4
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 10
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中