最新記事
SDGsパートナー

古民家再生、古木で「世界を結ぶ」──山翠舎が切り拓く建材の新たな可能性

2025年1月10日(金)16時00分
ニューズウィーク日本版編集部SDGs室 ブランドストーリー
古民家再生、古木で「世界を結ぶ」──山翠舎が切り拓く建材の新たな可能性

山翠舎が制作協力した森美術館で開催されたシアスター・ゲイツ氏の個展「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」

<古民家の建材を家具や店舗にアップサイクルする取り組みで、「ニューズウィーク日本版 SDGsアワード2023」最優秀賞を受賞。2024年には国内外パートナーとの連携を強化、震災で発生した古材を再利用するなど、さらなる進化を見せた山翠舎の挑戦>

世界を変えるには、ニュースになるような大規模なプロジェクトや商品だけでは不十分。日本企業のたとえ小さなSDGsであっても、それが広く伝われば、共感を生み、新たなアイデアにつながり、社会課題の解決に近づいていく──。この考えに基づいてニューズウィーク日本版は昨年に「SDGsアワード」を立ち上げ、今年で2年目を迎えました。その一環として、日本企業によるSDGsの取り組みを積極的に情報発信していきます。

◇ ◇ ◇


株式会社山翠舎は、廃棄されていた古材に新たな価値を創出することで「古木*」として再定義し、事業を展開している。同社はこの事業で、地方を中心に深刻化している空き家問題をはじめ、環境・社会・経済といった幅広い課題解決に繋げることを目指している。
*古木:山翠舎の定義では、戦前に建てられた築80年以上の古民家の解体から発生した柱、梁、桁、板の木材のこと。

捨てられるだけだった古民家を「古木」として生まれ変わらせる

昨今、日本では地方の衰退が急速に進んでおり、空き家や空き店舗の増加が社会問題となっている。特に空き家となった古民家の再利用は高度な技術とコストが必要となるため、大半が取り壊され、廃棄されているのが現状だ。

長野県の建築会社である株式会社山翠舎は、従来は価値がなかった古材に、ストーリー性や希少性をもたせることで「古木」というアップサイクル商品に転換。その古木を利活用することで環境・社会・経済の課題解決に繋げるといった、サーキュラーエコノミーの活動を推進している。

具体的には、古木を活用した店舗内装設計や施工のほか、古民家移築工事、改修工事、古木専門工事、古木家具販売といった事業を展開。古民家が古木として再利用されることで、廃棄物として焼却処分されることがなくなり、CO2の排出を抑制することができる。

さらに、古木を活用したイベントスペースやコワーキングスペースも運営している。古木の再利用に加え、地域活性化や経済発展にも寄与していると言えるだろう。

2024年は、他社との協業や連携を通じて取り組みの幅をさらに広げた。7月には、宿泊施設のプロデュース・運営を手掛ける株式会社温故知新とコラボレーションし、古木や空き家となっている古民家を活用して長野県小諸市に分散型ラグジュアリーホテルを再生するプロジェクトを始動させた。これにより、「古木」から「古民家」へスケールを広げ、上流工程(ディベロッパーの立場)でビジネスを展開。観光客誘致や雇用創出といった地域貢献にもつながることが期待されている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米労働統計局、インフレ指標発表へ一時帰休職員が復帰

ワールド

イリノイ州への州兵派遣一時差し止め、シカゴ裁判所が

ワールド

訂正-米ニューヨーク州司法長官を起訴、金融詐欺の疑

ワールド

イスラエルとハマス、第1段階合意文書に署名 停戦・
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国EVと未来戦争
特集:中国EVと未来戦争
2025年10月14日号(10/ 7発売)

バッテリーやセンサーなど電気自動車の技術で今や世界をリードする中国が、戦争でもアメリカに勝つ日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル賞の部門はどれ?
  • 3
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな飼い主との「イケイケなダンス」姿に涙と感動の声
  • 4
    50代女性の睡眠時間を奪うのは高校生の子どもの弁当…
  • 5
    あなたは何型に当てはまる?「5つの睡眠タイプ」で記…
  • 6
    ウクライナの英雄、ロシアの難敵──アゾフ旅団はなぜ…
  • 7
    史上最大級の航空ミステリー、太平洋上で消息を絶っ…
  • 8
    米、ガザ戦争などの財政負担が300億ドルを突破──突出…
  • 9
    底知れぬエジプトの「可能性」を日本が引き出す理由─…
  • 10
    いよいよ現実のものになった、AIが人間の雇用を奪う…
  • 1
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレクトとは何か? 多い地域はどこか?
  • 2
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 3
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    赤ちゃんの「耳」に不思議な特徴...写真をSNS投稿す…
  • 6
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 7
    祖母の遺産は「2000体のアレ」だった...強迫的なコレ…
  • 8
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 9
    ロシア「影の船団」が動く──拿捕されたタンカーが示…
  • 10
    更年期を快適に──筋トレで得られる心と体の4大効果
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 9
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中