カーボンニュートラル達成へ向けて、日本製紙が掲げる「バイオリファイナリー構想」
日本製紙のSDGsに向けた取り組みの集合体
日本製紙が作り出した木質由来の製品の一つが、セルロースナノファイバー(商品名:セレンピア)というバイオマス新素材だ。軽量性・高強度性・高酸素バリア性など様々な機能を持っており、食品の賞味期限の延長や製造時の歩留り向上に役立つため、フードロスの削減に繋げることができる。
その他にも、国産飼料として畜産物の食料自給率の向上に貢献する「養牛用飼料(商品名:元気森森)」や、石油化学樹脂に代わる複合素材として温室効果ガス排出量削減に期待できる「バイオコンポジット」、SAF(持続可能な航空燃料)などに使用されることで国産クリーンエネルギーの供給に寄与できる「バイオエタノール」などを開発している。
「このように、バイオリファイナリー構想は森林資源という再生可能な資源を有し、それを余すことなく有効活用できる技術やバイオマス資源循環モデルを構築しており、SDGsへの取り組みの集合体となっています。環境・社会問題の解決と持続可能な循環型社会の実現を求められるこれからの時代において、環境問題への対応と企業成長を同時に実現できるバイオリファイナリー構想は、当社グループの圧倒的強みであると考えています」と、武井氏は話す。
現時点では、全ての国が2050年にカーボンニュートラル達成を目標として表明しているわけではなく、2060年以降の目標としている国もある。しかし、日本製紙はアジア地域にも森林資源の確保を進めており、途上国での植林作業を進めている。こうした森林管理の理念と技術を持った企業が、途上国の森林保護のシステムを海外に輸出していけば、より早くカーボンニュートラルは達成に近づくことができるのではないだろうか。